NTT西日本とQTnetが実施した新たなデータセンターの最適化実験
近年、AIやIoTの進化に伴い、データセンター(DC)の役割がますます重要になっています。特に、災害対策やエネルギー効率を考えると、地域に分散したDCを効率的に活用することが求められています。そんな中、NTT西日本、NTT、QTnetの三社は、IOWNオールフォトニクス・ネットワーク(APN)を活用した遠隔データセンター間の処理配置最適化の実証実験に成功しました。
実証実験の背景と目的
現在、日本全国で再生可能エネルギーの出力制御が行われており、約19億kWhもの電力が有効利用されていません。そのため、再生可能エネルギーを効率よく活用し、カーボンニュートラル社会の実現を目指すことが重要です。今回の実験では、福岡と大阪にあるDCを接続し、再生可能エネルギーの発電量に応じた柔軟な処理配置を実現しました。
実験の内容
約600kmの距離を接続するため、IOWN APNを利用して、分散DC環境を構築しました。この環境では、アプリケーションを停止させることなく、ライブマイグレーションを行うことができ、ダウンタイムを抑えることができました。さらに、実際にあった再生可能エネルギーの出力制御データを元に、処理配置を30分ごとに動的に変更する実験を行い、最大で31%の再生可能エネルギー利用率の向上が確認されました。
技術的な成果と計算能力
また、本実験では膨大な計算量が必要とされる処理配置最適化計画を、NTTが独自に開発したアルゴリズムを使用し、わずか2分以内で算出することにも成功しました。この結果、より大規模なデータセンター環境への展開が期待されます。
各社の貢献
NTT西日本は、IOWN APNによるネットワーク構築を担当し、NTTはソフトウェア環境の構築と処理配置制御プログラムを実装しました。また、QTnetは福岡側のDC環境を提供し、これによって三社の強力な連携が実現しました。
今後の展開
この実証は、今後のDCにおける再生可能エネルギー利用を促進し、環境負荷を低減するための大きな一歩として位置づけられています。AIやIoTのニーズに応じたDC活用と持続可能な社会の実現のために、これからも技術開発と実証が進められます。また、IOWN APNはネットワーク機能にとどまらず、制御や計算機能と組み合わせることで新たな価値を生み出せる可能性を秘めています。三社は引き続き連携し、この技術を活用して地域や社会の課題解決に向けた取り組みを進めていく所存です。