フランスでの成功事例を踏まえ、NPO法人ウィーズ(千葉県鎌ヶ谷市)は今年度から日本版の地域支援プロジェクト『エブリリーフ』を本格的に展開します。特に家庭環境に悩むこどもや若者への支援を目的に、地域の大人との1対1の関係構築を促進。2023年に実施されたアンケートによれば、過去に苦しい家庭環境で育ったこどもたちの多くが『親以外の大人の助けがあったら、もっと楽になれた』と感じていることが示されています。
このプロジェクトの大きな特徴は、親以外の大人とこどもが時間を共に過ごすことで、安心・安全な環境を保ちながら互いの関心やエクスチェンジを深めていく枠組みです。相手としてリーフメイト(地域の頼れる大人との呼び名)には、特別なスキルは求められず、ただ一緒に過ごすことで自然とこどもたちの心の支えとなります。
活動の具体例としては、将棋や手芸を共に楽しんだり、キャッチボールや釣りに出かけたり、さらには就職相談を行うことも可能です。まるで友達のようにリーフメイトと関わることで、子どもたちのアイデンティティや価値観が育まれ、自己肯定感を高める助けとなります。これにより、フランスにおいてはこどもたちの学びや心の安定が向上する成果を挙げてきた背景があります。
現在、日本では約10件のマッチングが都内を中心に実施されており、小学生から大学生まで、幅広い年齢層のこどもたちとリーフメイトの交流が始まっています。光本理事長も、親でなくとも地域の大人に関わることでこどもたちにプラスの影響がもたらされることを実感しています。
大人側に特別な準備が必要でないこのプロジェクトでは、ウィーズの事務局がリーフメイトの活動をしっかりとサポートし、必要な知識や心構えは事前研修で学ぶことができます。今月もオンライン説明会を開催しており、参加者は事前に申し込むことで気軽に参加できる環境があります。
『エブリリーフ』の展望としては、家庭が抱える問題が深刻化する日本の社会において、親の役割を超えた多くの大人が子どもたちの成長を支えるシステムづくりを目指しています。こどもたちが家庭外でも安心して自己を表現し、成長できるような社会の実現へ向けて、地道に活動を続けていく方針です。特に、関東圏だけでなく、全国各地への拡大を目指すことで、より多くのこどもたちが新たな居場所を見つける手助けをしていく予定です。
これからの形として、エブリリーフはこどもの中で育まれる関係性や成長を見守り、それらをデータとして蓄積し、日本の現状に即したモデルを築いていく考えです。未来の笑顔のために、地域の大人たちがこどもたちに寄り添う支援プロジェクトとして、『エブリリーフ』は一層の成長が期待されます。