KPMGコンサルティングの「2021 CCO調査」から見えるコンプライアンスの新トレンド
KPMGコンサルティングが発表した「2021 CCO調査」では、約250名の現役CCO(最高コンプライアンス責任者)を対象に、企業がどのように新たなリスクに対応し、コンプライアンスの枠組みを再構築しているのかを探りました。本調査は、特に新型コロナウイルスの影響を受けた企業の取り組みの現状を反映しています。
変わりゆく環境と責任
調査によると、リモートワークの普及と規制環境の強化に伴い、企業のコンプライアンス管理はより複雑化しています。この中、67%のCCOがコンプライアンス機能の自動化とテクノロジー活用を計画しており、これは他に類を見ない高い数値です。自動化を通じて、新しいリスクに適応しつつ、コンプライアンスプログラムの改善を進める必要性が明確になっています。
特に、サイバー保護や消費者保護といった分野が重視されており、個人情報保護に焦点を当てたコンプライアンスが求められています。企業はESG(環境・社会・ガバナンス)に関連する新たな課題にも対応するため、コンプライアンス機能の関与が必要とされています。
テクノロジーへの投資拡大
調査では、コンプライアンスに関連する予算が前年比で増加すると見込まれています。特にテクノロジー関連の予算が伸びており、75%以上の企業が今後3年間で自動化とテクノロジーの活用を優先事項としていることが分かりました。GRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)ツールへの投資も進められており、機械学習や人工知能への予算増加が期待されます。
さらに、データ分析が自動化の鍵となることが多くのCCOに認識されています。これらのテクノロジーを活用することで、従業員の行動をよりよく監視し、リスクを減少させることができるのです。
新たなスキルの必要性
ニューノーマル時代において、多様な働き方をする従業員に対して企業はコンプライアンスポリシーを合理化し、整合性を持たせることに注力しています。調査によれば、54%のCCOが「データ分析」を重要な専門分野として挙げており、コンプライアンスに必要な専門性を新たに補う必要があると認識しています。
また、リモートワークの普及は新たなコンプライアンスの課題を生み出しており、63%のCCOが今後出社とリモートワークの併用を予測しています。これにより、サードパーティーリスクや情報保護の重要性が高まり、コンプライアンスの政策はより一層の柔軟性と対応力が要求されています。
まとめ
KPMGの調査結果は、企業のコンプライアンス責任者が直面する新しい現実を浮き彫りにしています。自動化やテクノロジーの導入を通じて、変化するリスクへの対応が求められている中、企業はこれまで以上に柔軟かつ迅速に対応しなければなりません。今後、どのように企業が新しい課題に立ち向かうのか、その動きに注目です。
本調査の全文は
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