産学共同研究がもたらす新たなライフスタイル
東京大学大学院農学生命科学研究科と日鉄興和不動産、SANU、JDSCの4者が手を組み、多拠点生活が心身に与える影響を研究する新たなプロジェクトが始まります。この研究は、2015年から行われてきた探索的調査を進展させたもので、これまでのデータに基づき、東京大学が新たに参加し、より多面的な視点で実施されます。
研究の背景
現代の都市生活は、仕事や家事、育児、デジタル機器への接続などで疲弊し、心身の健康を保つことが難しくなっています。その一方で、リモートワークの普及により、複数の地を行き来する「多拠点生活」の選択肢が注目されています。国土交通省の調査によれば、約3割の都市住民が「二地域居住」に関心を持っており、特に若年層ではその傾向が顕著です。
ただ、多拠点生活が心身に与える影響については明確ではなく、これがどのような特性を持つ人々に起こるのか、またその経験が本当に効果をもたらしているのかどうかが課題とされています。
研究の目的
本研究では、多拠点居住を「暮らしのポートフォリオ」的に捉え、都市と自然を行き来するライフスタイルが豊かな生活を実現できるかを検証します。そのため、SANUの会員だけでなく、多拠点居住を実践していない人々とも比較を行うことで、より広範なデータを収集します。
研究の進め方
この研究は段階的に進められ、第一フェーズでは296名の対象者を比較対象に置き、ウェアラブルデータやアンケート調査を通じて、その変化を観察します。
1.
自己評価の変化: 滞在中の自己評価が高まり、心身の状態が良くなる兆しがあることが示されています。帰宅後の持続性については、今後の調査での分析が期待されます。
2.
多拠点の居心地: 利用者が通うことで拠点は「戻る場所」となり、より居心地が良くなることが分かっています。
3.
環境との影響: 滞在経験が自然との関わりを変え、帰宅後の生活にも影響が見られることが確認されています。
さらなる研究展望
第2フェーズでは、さらに800名規模の対象者を追跡調査し、意識や行動の変化を長期的に分析します。また、この研究を通じて得られた知見は、一般の人々、自治体、企業へも広く共有し、持続可能なライフスタイルの実現に向けた一助とします。
研究者の期待
東京大学の曽我准教授は本研究の意義を強調し、これが人々のWell-beingに寄与することを期待しています。多拠点生活が今後のライフスタイルとして定着するためには、実践者にとっての明確な価値と利点を示していくことが重要です。
この新たな研究が、私たちの生活様式を豊かにし、心身の健康を向上させる一助となることを期待します。今後の進展に注目が集まります。