BE Health Tokyo拠点がスタート
台湾に本社を置くBE Healthは、病院、ベンチャーキャピタル、アクセラレーターを融合した新たな医療イノベーションの推進を目的に、東京へ新たな拠点を正式に開設しました。アジア全体で医療資源が限られている中、高齢化社会に対応するため、臨床現場で本当に役立つ技術の開発と導入が求められています。このような背景の下、BE Healthは日台での医療イノベーションを加速させる第一歩を踏み出しました。
新たな拠点のオープンを祝うため、2025年10月2日に東京・日本橋のGLOBAL LIFESCIENCE HUBにて「Beyond Borders: Taiwan–Japan Medtech Innovation Night」が開催され、日台の病院、投資機関、スタートアップ関係者が集結しました。このイベントでは、病院とスタートアップの協力により、医療技術の国際展開がどのように進むのかを探る多くの議論が交わされました。
臨床を起点とした国際共創モデル
2018年に設立されたBE Healthは、これまでに19か国、170社以上のスタートアップと連携し、AI診断、デジタル療法、遠隔医療、精密画像診断といったさまざまな分野で支援を行っています。特筆すべきは、資金提供だけにとどまらず、台湾の秀傳医療グループやIRCAD Taiwanが持つ臨床検証のノウハウ、さらに台北医学大学の国際的な臨床ネットワークを駆使し、「実証 – 規制対応 – 市場展開」の支援を一体化させたクロスボーダーのサポートモデルを確立している点です。
成功事例で示す国際的な信頼性
BE Healthが支援した台湾のスタートアップの中で、特に注目されたのが東京大学発のInopaseです。この企業はBE Healthおよび秀傳医療グループのアクセラレーターに参加後、わずか2年で国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の助成を受け、8件の特許を取得しました。さらに日本やオーストラリアの病院での臨床試験を推進し、グローバル市場への進出を果たしています。
もう一つの成功事例であるHealth2Syncは、台湾から発展したデジタルAI慢性疾患管理プラットフォームで、現在では日本市場で最大規模のデジタル慢性疾患管理ソリューションに成長。70万人を超える日本のユーザーを抱え、企業とのパートナーシップを結んでいます。このように、BE Healthは医療分野において、臨床検証から市場展開に至る成功事例を次々に生み出しています。
イベントの多彩な議論
「Beyond Borders: Taiwan–Japan Medtech Innovation Night」では、専門家によるパネルディスカッションが行われ、多次元的な視点から具体的な課題と経験が共有されました。特に、第一部では東京大学や東北大学病院が登壇し、台湾スタートアップが日本の病院に参入する際の規制や文化的ハードルについて意見が交わされました。
第二部では、秀傳医療グループと台北医学大学が、PoC(概念実証)から市場展開に至るプロセスを解説。スタートアップと病院の協力が、いかにして成長を促進できるかが示されました。また、第三部では、帝人ファーマやOLBA Healthcareなどが登壇し、国境を越えた協力におけるパートナーシップの構築や戦略について深掘りしました。
さらに、スタートアップによる「Pitch Rising Star」では、5社がそれぞれの革新的なソリューションを紹介し、会場での投票により、OUI社が優れた臨床応用性と市場ポテンシャルで受賞しました。
BE Healthが創り出す未来
BB Healthの東京拠点は、単なる市場拡大の拠点ではなく、臨床ニーズを出発点にした日台の病院やスタートアップを繋ぐ架け橋としても機能することを目指しています。アジア全域における医療イノベーションの新たな波は、国境を越えた協力によってさらに加速していくことでしょう。日本の病院と台湾のスタートアップとの連携が、未来の医療をシフトさせることが期待されています。
BE Healthの新拠点は、これからの医療技術の進化を支える重要な役割を担い、アジア全体での健康への貢献を果たしていくでしょう。