CULUMUが提案するインクルーシブデザインに基づく学校建築の再生
インクルーシブデザインスタジオCUUMUは、一般財団法人建築保全センターが発行する機関誌『Re(アール・イー)』において、現代の教育に効果的な「インクルーシブデザイン」を用いた学校建築の再生に関する寄稿を行いました。特集テーマは「これからの学びの場」。CULUMUは、老朽化が進行する学校施設においても多様な子どもたちが共に学び合える環境をいかに実現するかについて、具体的なアプローチを述べています。
寄稿の背景:校舎の老朽化と教育ニーズのズレ
多くの公立小中学校が築30年以上を経ている現状、特に戦後に多く建設された「片廊下型校舎」は、長寿命化のための改修が進められています。これに対し、教育の現場では「インクルーシブ教育」の理念が浸透しつつあり、障害の有無を問わず個別の教育ニーズに応じた配慮が求められています。しかし、従来の固定的な校舎構造と柔軟な教育ニーズとの間には、依然として大きなギャップが存在しています。これにより、教育現場では対応が限界に達しつつあるのが現状です。
ハードとソフトの融合:新しいデザインアプローチ
CULUMUは、既存の校舎の大規模改修が難しい状況の中で、インクルーシブデザインの手法を導入した解決策を示しました。それは、多様な視点を設計プロセスに取り入れ、建築だけでなくICTや運用ルールなどのソフト面とも融合させるという「複合的デザインアプローチ」です。このアプローチにより、校舎としての機能を保持しつつ、利用者にとって使いやすい環境を創造することが目標です。
具体的な実践事例:大東市立南郷小学校
CULUMUは、株式会社小河建築設計事務所との協働を通じて、大東市立南郷小学校における事例を紹介しました。ここでは、子どもたちが「集団から離れて一人になれる安心な場所」を求める声を反映し、図書館内に「おこもりスペース」を設計しました。設計者と当事者との対話を通じて、建築的な死角管理の課題にも対処しながら、老朽化した校舎内に新たな価値を生み出すことに成功しました。
課題探索と共有の重要性
CULUMUの提言は、障害のある児童など当事者を設計のプロセスに巻き込み、ワークショップなどの形で対話を通じて潜在的な課題を明らかにし、共に解決策を模索することの重要性を示しています。このようにして、建築のハード部分と教育現場のソフト部分を融合させることで、より包摂的な学びの場を提供することが可能になるのです。
未来に向けた取り組み
CULUMUは、インクルーシブデザインを推進する中で、建築と教育の新たな関係性を創出することに取り組んでいます。さらなる社会課題解決に向けて、新しい価値の創造を目指しています。今後もこうした取り組みを通じて、より多様性に富む教育環境の実現に貢献していく所存です。
まとめ
CULUMUの提案は、古い校舎の中にも新たな価値を見出し、利用者に優しい環境を提供するためのインクルーシブデザインの実践を示しています。教育の現場で求められている調和をはかりながら、高齢者や障害者、さらには多様な世代との共創を進めていくことが、これからの建築デザインにおいて求められる姿勢なのではないでしょうか。それにより、誰もが安心して学べる環境を整備することができるでしょう。