道路貨物運送業の現状と課題
2024年度の道路貨物運送業界は、深刻な状況に直面しています。株式会社帝国データバンクの調査によると、2024年度の倒産件数は11カ月累計で328件に達し、前年度の317件を上回ってしまいました。このペースで推移すれば、通年では360件前後に達し、2008年度のリーマン・ショック時の371件に迫ると予測されています。
人手不足の深刻化
「2024年問題」という言葉が示すように、自動車運転従事者の有効求人倍率は2.82倍と、全業種平均の1.22倍を大きく上回っています。これは道路貨物運送業の人手不足が特に顕著であることを裏付けており、業界の競争が激化しています。自社の運転手を確保することが難しくなっており、一部の企業は運転手の確保ができないために受注を断る事例も増加しています。
燃料高の影響
この状況に拍車をかけているのは、軽油価格の高騰です。2025年1月からのガソリン補助金の縮小も影響を与え、軽油の価格は164円に達し、収益が厳しい企業が多数存在します。燃料価格はさまざまな物流業務のコスト要因となっており、企業は収益が悪化しているという厳しい現実に直面しています。
倒産の要因
従業員不足を原因とする倒産件数は、2024年度に判明した308件のうち38件と、全体の12.3%を占めています。また、物価高を理由とする倒産も同年度で841件中116件に上り、約9割が燃料高によるものでした。このような人手不足と物価高という二重の苦境が、業界全体に深刻な影響を及ぼしています。
現在の市場環境
現在の市場環境は、アフターコロナによる消費の回復が見込まれる一方で、人手不足が根強く影響を持っています。他業界との人材争奪戦が続いており、ドライバーの高齢化も進行しています。そのため、賃上げが必要とされ、さらなるコスト増加が懸念されます。これらの問題を解決しない限り、倒産件数は高水準で推移していくことでしょう。
抜本的な対策の必要性
このような状況下、業界の効率化や安定化が求められています。荷主との協力に基づく運送料金の引き上げや、再委託構造の改善による価格転嫁率の向上が急務です。早急な対応が求められていると言えるでしょう。これらの対策が行われなければ、道路貨物運送業界の未来は益々厳しいものとなることが予想されます。