ストックラボによる新たな開発運用体制の確立
株式会社ストックラボは、東京都に本社を置くリユース企業で、革靴やお酒の売買を行っている。このたび、彼らは生成AI「Claude」を中核にした画期的なエンジニア工数削減プログラムを本番導入した。このプログラムは、要件定義から実装、検証、運用までの各工程において、エンジニアの負担を軽減し、迅速かつ効率的な開発運用体制を実現することを目指している。
この取り組みでは、要件定義をチケット分解に変換し、コードレビューの補助、検証用SQLやテストコードの自動生成、運用Runbookの起票を標準化することによって、“人間が判断すべきポイントに集中できる”体制を構築している。これにより、品質とスピードの両立を図ることができる。
背景と課題
ストックラボが選択した深化の取り組みは、革靴という非常に変動の激しい市場において特に重要である。革靴の相場は、ブランドやモデル、サイズ、状態など多くの要因によって決まるため、頻繁な価格調整が必要である。このような状況で、開発チームは次のような課題に直面していた。
1.
要件からチケット分解におけるばらつき:非機能的な基準の記述や依存関係が不一致になるため、レビューや手戻りが増加。
2.
レビュー初動のボトルネック:差分の要約や観点チェックに時間がかかり、設計判断までのプロセスが遅れる。
3.
検証負債の蓄積:手作業による検証SQLおよびテストコードの準備が多く、迅速なABテストが困難。
4.
運用Runbookの初稿不足:変更手順の文書化が後手に回り、説明可能性が損なわれる。
これらの課題は、限られたエンジニアリソースにとって大きな負担となっていた。
生成AIの導入による改革
そこで、ストックラボは2024年下期より生成AI「Claude」を用いたポジティブな改革を実施することにした。このアプローチでは、次のような仮説を検証している。
- - 要件→チケット分解の平準化により、手戻りが減少する
- - 観点チェックや質問案の自動展開により、レビュー初動が短縮される
- - 検証SQLやテスト雛形の自動生成により、迅速な検証が可能になる
- - Runbook初稿の自動起票によって、運用準備の品質が一定化される
PoCの結果、リードタイムや往復質問、手戻り率が改善され、多様な要件と開発スピードを両立できる見込みがついた。
新しい標準フローの設定
ストックラボは、要件からチケット分解に至るまでの一連のプロセスを以下のように設定した。これにより、エンジニアが要件の理解や設計のリスク評価、レビューにより多くの時間を割けるようになった。
1.
要件→チケット分解:入力として要件メモや仕様書をもとに、エピックやユーザーストーリーを作成。
2.
コードレビュー補助:変更についての要約と観点チェックリストを自動展開。
3.
検証用SQL・テストの自動生成:必要なクエリ雛形とテストスケルトンを生成。
4.
運用Runbook起票:変更手順やロールバック手順の初稿を作成し、SREが検証して承認。
代表のコメント・今後の展望
株式会社ストックラボの代表である尾太 駿氏は、AI導入の目的は自動化そのものではなく、変動する市場でスピードと説明可能性を両立するためだと強調している。
「Claudeが提供するのは、80点のたたき台です。」と尾太氏は語る。「最終的な判断は人間が行い、私たちのエンジニアは設計判断に集中できます。この新たな体制によって、価格の鮮度と根拠を同時に示す存在になりたいと期待しています。」
この新たな取り組みを通じて、今後のストックラボの進化が楽しみである。