はじめに
2025年の賃貸市場におけるニーズの変化とトレンドに関する調査結果が、リーシング・マネジメント・コンサルティング株式会社(以下、LMC)から発表されました。調査は、2025年11月6日から11月30日の期間に、首都圏内の賃貸不動産仲介担当者374名を対象に実施されました。ここでは、調査結果を基に賃貸市場の動向を詳しく見ていきます。
主な調査結果
1. 電子契約の普及
近年、賃貸借契約における電子契約の利用が伸びてきています。調査によれば、契約の50%以上が電子契約で行われているとの回答があり、前回調査から5.5ポイントの上昇を見せました。この傾向は、法改正やコロナ禍によって進むこととなり、その利便性が評価され、安定して定着へと向かっています。電子契約の普及は、業務効率を向上させる大きな要因となっているのです。
2. 家賃相場と来店客の予算感
最近の家賃相場の上昇に応じて、来店客の賃料予算が引き上げられる傾向が見られます。調査では、2024年と比較して来店客の賃料予算が上がっていると感じる仲介担当者が40%を超え、前回調査から5.9ポイント上昇しています。単身者やファミリー層はそれぞれ約8,460円、13,597円ほど予算を上げているとのことです。
3. 賃料交渉の現状
また、賃料交渉についても注目すべき結果が出ています。調査によると、賃料交渉が10%以上発生するとの回答が3割超に達しました。希望される減額幅は多くが5%未満ですが、6〜10%の減額を求める意見も見られ、賃貸市場において、交渉が日常的に行われていることが伺えます。
4. テレワークの定着
さらに、テレワークを前提にした住まい探しの動向も関心を集めています。調査によれば、テレワークを想定した部屋探しが引き続き広がりを見せており、その割合は依然として1〜4割程度にとどまっています。テレワークは一過性のトレンドではなく、生活スタイルに根ざした選択肢として確立していることが示唆されます。
5. リノベーション物件について
リノベーション物件の賃料評価についても興味深いデータが得られました。フルリノベーション物件の適正賃料は新築物件の80〜95%程度が妥当と考えられ、紹介頻度については10〜30%程度との回答が80.8%を占めていることが確認されました。市場での安定供給が続いているリノベーション物件は、今後の賃貸市場において重要な役割を果たすことでしょう。
都心5区の賃貸市場動向
ところで、東京都心の5区(千代田区、中央区、港区、渋谷区、新宿区)では、人口推移と賃貸マンションの坪単価がどう変化しているのでしょうか。調査結果によると、コロナ禍以前は賃貸需要が堅調であったものの、テレワークの普及に伴い郊外への移住が進み、都心部の人口は転出超過になっています。しかし、最近では募集戸数の減少が続き、坪単価が上昇傾向にあるとされています。建築コストの高騰や分譲マンション価格の上昇が影響し、賃料上昇が続く局面に入っています。
まとめ
2025年の賃貸市場は、電子契約の普及やテレワークの定着、リノベーション物件の重要性が高まるなど、さまざまな変化が見られます。今後の市場動向を注視し、賃貸業界がどのように適応していくのかが、ますます注目されるところです。詳細な調査結果は、LMCの公式サイトからダウンロードできますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。