福井県越前鯖江地域が国際的に評価される
福井県の越前鯖江地域(鯖江市・越前市・越前町)の取り組みが、持続可能な観光の国際認証を受ける「Green Destinations Top 100 Stories 2026」に選出されました。この選出を果たしたのは、一般社団法人SOEが推進するオープンファクトリーイベント「RENEW」を起点とした地域の活動が評価されたからです。「人々とコミュニティ」の観点から、越前鯖江地域の持続可能な観光の取り組みが国際的な舞台で注目を浴びています。
「人々とコミュニティ」への評価
この賞は、オランダに本部を置くグリーン・デスティネーションズが実施するもので、世界中から提出された優れた観光事例の中から選ばれた100のストーリーの一つです。越前鯖江地域では、地域の事業者と住民、移住者が協力し、観光地域を形成する取り組みが行われています。このプロジェクトによって職人と来訪者の交流が生まれ、意識の変化やコミュニティの連携が強化されているのです。
ものづくりが支える文化
越前鯖江地域は、7つの地場産業が半径10キロ圏内に集積した、日本有数のものづくり地域です。越前漆器、越前和紙、越前打刃物、越前箪笥、越前焼などの伝統工芸品が息づいています。しかしながら、現代のライフスタイルの変化に対応するため、地域の産業構造は変わりつつあります。職人たちは自らの仕事の価値を理解してもらう場がなく、次の世代への継承が難しくなっています。
「RENEW」が生んだ新しいつながり
「RENEW」は、2015年に鯖江市河和田地区で始まり、職人と来訪者が交流する場を創出しました。工房を一般に公開し、実際に経験したことを通じてその技術や製品の価値を直接伝えることによって、職人たちは自分たちの仕事に再び誇りを感じるようになります。そしてこのイベントは、地域全体に広がり、参加企業数は増加し続けているのです。
2017年以降、このイベントは周辺地域へと広がり、2025年には122社が参加し、来場者数は延べ5.5万人に達しました。参加者の中には、産地を支える「サポーターチーム」、あかまる隊があり、地域とともに活動を進めています。
移住者の増加と地域再生
越前鯖江では、ものづくり企業への新たな就業者とその担い手としての移住・就業が進んでいます。SOEでは、若者と職人との学び合いを促進し、産地での生活を実現するためのプログラムを展開しています。約70名が新たに移住し、デザイナーとしても地域に関わっており、事業を支えるバックオフィス人材の増加も見られます。
工芸宿「SUKU」の開業
さらに、2025年には越前和紙を体感する「SUKU」という工芸宿が開業され、翌年秋にはさらに「SUKU hanare」が誕生する予定です。こうした新たな試みは、地域の産業観光をより深め、来訪者に対してものづくりの文化や暮らしを直接体験できる機会を提供することを目指しています。
国際的評価と今後の展望
越前鯖江地域の持続可能な観光に関する取り組みは、観光庁からの支援を受けつつ発展し続けています。2026年には「日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D)」に基づくロゴマークの使用承諾を受け、「Forbes JAPAN」にも選出されています。
「Green Destinations Top 100 Stories」への選出は、地域の関係者にさらなる士気をもたらし、今後も地域資源の循環や観光地域の持続可能な発展に向けての取り組みを強化していくことでしょう。越前鯖江地域が世界でその魅力を発信することを期待しています。