身体の不自由な人のための新しい服の選択肢「キヤスク」
2023年3月1日、日本で初めての身体の不自由な方々を対象としたオンラインお直しサービス「キヤスク」が提供を開始しました。このサービスは、障害を抱える方々が自分の好みに合った服を自由に選べ、自宅で簡単にお直しができることを目的としています。
キヤスク開発の背景
「キヤスク」の背後には、株式会社コワードローブの代表である前田哲平さんの強い想いがあります。2018年、ユニクロに在籍していた彼は、聴覚障害者の同僚との出会いをきっかけに障害者の服事情に目を向けるようになりました。この出会いから、彼は当事者へのヒアリングを始めることにしました。彼は2020年までの3年間で800人以上にインタビューを行い、障害者が「着やすさ」を優先せざるを得ず、結果的に選択肢が限られている現実を知ることになりました。
前田さんは、「自分に何かできることはないか」と考え、まずは着やすい既製服に関する情報を発信するメディアを運営しました。しかし、単なる情報提供では根本的な解決にはならないと感じ、本当に必要なサービスを創出することを決意しました。2021年にはユニクロを退職し、キヤスクの立ち上げに取り組むことに決めたのです。
独自のお直しサービスの流れ
キヤスクの利用方法は非常に簡単です。まずは、お直ししたい服を用意し、サイトにアクセスします。その後、お直しの内容を選び、担当キャストを指名します。キャストとの詳細な打ち合わせはサイト内のコミュニケーションルームで行います。打ち合わせが終わったら、服をキャストに送付し、料金を支払います。支払い後、キャストが実際のお直しに取り掛かり、完成した服を自宅で受け取るという流れです。
特徴的なお直しメニュー
一般的な服のお直しサービスでは対応が難しいニーズに応えるメニューも多数用意されています。例えば、腕が曲がりにくい方には「Tシャツの前開き」や、手足が不自由な方には「シャツのボタン留めをマジックテープに変更」などがあります。また、車いすユーザー向けの褥瘡対策など、特定のニーズに応じたお直しも行なっています。料金は非常にリーズナブルで、1,650円からの設定となっています。
「キャスト」の役割
キヤスクでは、お直しを担当するスタッフを「キャスト」と呼びます。この呼び名は、「お客様に寄り添う役割」という意味を込められており、映画や演劇の出演者に喩えられています。キャストはすべて、肢体不自由児の親や縫製士としての経験を持つ方々で、お客様に対して熱い思いを持って参加しています。彼らの経験と情熱が、サービスの質を高めているのです。
会社概要
株式会社コワードローブでは、キヤスクを通じて社会的ニーズに応える活動を行なっています。代表の前田さんは、このサービスが多くの人々にとってより良い選択肢となることを願っています。
- - 会社名: 株式会社コワードローブ
- - 代表者: 前田哲平
- - 設立日: 2021年1月
- - 所在地: 千葉市中央区富士見2-7-9-609
- - URL: コワードローブ公式サイト
これからの生活をより豊かにするための「キヤスク」。このサービスは、身体の不自由な方々に新たな服の選択肢を提供します。