外食業界におけるダイナミックプライシングの実態
近年、外食産業において注目を集めている「ダイナミックプライシング」。これは、同じメニューの価格が時間帯や立地に応じて変動する仕組みを指します。株式会社リクルートが実施した調査によれば、この価格設定手法の認知率は57.0%に達しています。特に若年層での理解度が高いことがわかりました。鶴見大学の研究でも、消費者の99%が外食時の価格変動に対して疑問を持っている中、54.3%がこの価格設定に対し納得できると感じているとの結果が出ています。
認知度の詳細
調査によれば、「同じメニューがランチやモーニングでは割安」という価格変動に関する認知が特に高く、40.8%の人々がこの仕組みを理解しています。近年、多くの飲食店がこの方式を採用し、時間帯によって異なる価格を付けることで、集客を図る戦略を取っているようです。
納得感の背景
「ダイナミックプライシング」に納得できるとする意見の中で、最も支持されているのは「同じメニューがランチやモーニングでは割安」という点で68.4%が賛同しています。さらに、63.1%は「夕方早めの割引」(通称ハッピーアワー)についても納得感を示しており、58.1%は「深夜料金についても理解できる」と答えています。
一方で、この新しい価格設定方法に対する抵抗感もあります。具体的には「価格が複雑になるのは歓迎しない」とする声が20.5%。また、「考えすぎて気軽に利用できなくなるのでは」という懸念も多く聞かれました。
消費者の意見まとめ
調査によると、納得できる理由のトップ3には「価格が安くなる時間帯を選べる」、「飲食店の経営が厳しいとの理解」、「価格戦略は店舗の自由」といった意見が挙げられています。一方、納得できない理由としては「ストレスを感じる」、「それに気を取られて楽しめなくなる」という消極的な意見が多く寄せられました。
これらの結果は、今後の外食業界における価格戦略が消費者の理解を深めつつも、利用のしやすさを損なってはならないという課題を反映しています。食事は楽しいものであるべきであり、その楽しさを損なうような複雑な条件を伴うことで、消費者が敬遠する可能性も考えられます。
調査概要
本調査は、首都圏や関西圏、東海圏に住む20歳から69歳までの男女を対象に実施されました。調査方法はインターネットを利用し、調査期間は2024年8月15日から10月10日までに行われました。
詳細な調査結果はここからPDFでご覧いただけます。
まとめ
外食業界の「ダイナミックプライシング」は、今後も注目を集めるテーマです。消費者としては、価格の変動を受け入れつつ、気軽に外食を楽しむための選択肢を増やす工夫が求められています。