扇の舞が初公開
2020-10-26 10:00:05
須藤玲子の代表作《扇の舞》がついに日本初上陸
近年、アートやデザインの分野において、伝統と現代技術が交差する機会が増えています。その中で特に注目を集めているのが、須藤玲子の大型インスタレーション《扇の舞》。2017年にワシントンDCのジョン・F・ケネディ舞台芸術センターで初めて発表されたこの作品が、ついに日本で初めて公開されることが決まりました。この展覧会は、美術館の空間全体を覆うように配された204の布製扇によって構成されており、色とりどりの扇が生み出すリズミカルな動きが、観客に新たな視覚的体験を提供します。
《扇の舞》はその名の通り、日本の伝統的な扇をモチーフにしており、須藤自身が厳選したNUNOのテキスタイルが使用されています。扇の形や構造は、平安時代から続く日本文化の象徴でもあり、祝い事に欠かせない存在とされています。須藤はこの作品を通じて、日本文化の持つ多義性や豊かさを表現しようとしています。特に、青を基調とした色使いや素材選びは、かつてラフカディオ・ハーンが描いた日本の景色を喚起させます。
また、今回の展覧会では新たにSoftpadによる音響表現が追加され、扇から放たれる音と視覚が有機的に結びつくことで、観覧者はより深い感覚に浸ることができます。この新しい試みは、コロナ禍においてリアルな空間展示が求められた背景も影響していると言えるでしょう。展示の設計には、須藤が長年の経験から得たノウハウと、フランスの建築家アドリアン・ガルデールとのコラボレーションが生かされています。
日本各地でのテキスタイル生産者とのコラボレーションを通じて、須藤は伝統技術と最新技術とを自由に行き来しています。特に、藍染やインディゴ染の手法を取り入れ、それらを用いた布地は、須藤の創作活動において重要な要素を占めています。彼女は、物質的な素材と向き合い、現代アートとしての価値を高めています。
茨城県近代美術館でのこの展覧会は、須藤玲子が出身地である石岡市からの文化的歴史を取り入れ、地域に根ざしたアートの可能性を示す場でもあります。須藤自身が作品を通じて、現代を生きる人々に何かを感じてほしいという思いを込めて制作したこの作品は、観覧者にとっても特別な体験となることでしょう。
ぜひこの機会に、須藤玲子の《扇の舞》を通じて、日本文化の美しさとその多様性を再発見してみてください。展覧会は2020年11月3日から12月20日まで行われ、アーティスト・トークも予定されています。最新情報は茨城県近代美術館の公式サイトで確認できます。
会社情報
- 会社名
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株式会社 布
- 住所
- 東京都港区六本木5-17-1AXISビル B1F
- 電話番号
-
03-3582-7997