関空のパレットドーリー位置情報検知が始まる
鴻池運輸株式会社は、関西国際空港内でのパレットドーリー(以下、ドーリー)の位置情報検知システムを2024年10月1日より本格的に運用開始しました。これは、2021年から続けられてきた実証実験の結果を受けたもので、ドーリーの現在位置や積載状況をリアルタイムで把握できるセンサーが導入されたものです。
位置情報検知システムの必要性と実証実験の背景
ドーリーとは、航空機に搭載するコンテナを運搬するための専用台車です。関空では、グランドハンドリング業務を担当する株式会社Kグランドサービス(以下、KGS)が、ドーリーの捜索効率を向上させるためにこのシステムの必要性を実感していました。これまで、作業者はドーリーを探すのに旅客便1便あたり約30分の時間を要していましたが、位置測位センサーを導入することで、その時間を約15分に短縮可能となり、実に50%もの時間削減が期待されています。
実証実験は、Hoopo Systems Ltd.が開発したセンサーを用いて行われ、ドーリー563台に設置されました。このセンサーは、GPSを利用した位置情報の把握を可能にし、ドーリーの現在位置や積載量を確認できることで業務を効率化することを目指しています。
労働環境の改善と人手不足への対応
新たに導入された位置情報検知システムは、コロナ禍における離職や人手不足が深刻な空港現場での労働環境を改善する一助と考えられています。また、従業員の労働負荷を軽減することで、人手管理がどのように変わるのか、その効果が期待されます。現在、ドーリーの位置確認にはパソコンやスマートフォンを使用し、現場作業者の業務をサポートします。
今後の展開
鴻池運輸は、KGS以外のグループ各社への技術の展開も視野に入れており、さらなる業務効率化を追求していく方針です。この事例が成功すれば、他の空港や物流現場にも広がっていく可能性があります。
このような取り組みは、航空業界全体に新たな価値をもたらすものと期待されています。今後の運用により、さらなるデータ蓄積や制御技術の向上が図られ、航空業界の現場がますます進化していくことでしょう。