教育現場の過酷な実態を浮き彫りにする調査
株式会社小学館が運営する教育系メディア「みんなの教育技術」が行ったアンケート調査が、教員たちの労働実態を浮き彫りにしています。全国から5412人が回答したこの調査は、教員や教育委員会関係者を含む貴重なデータを提供しています。
教員の勤務時間が常態化する現実
調査によると、教員の勤務時間は平均して11時間を超え、実際には多くの教員が十数時間働いていることが示されています。特に、4人に1人は毎日12時間以上働いているという実情から、法定勤務時間を長く上回る業務の実態が顕著に見てとれます。この長時間労働の背景には、多すぎる業務量があり、出勤から退勤までの時間に充分な授業準備ができないと切実な声が上がっています。
「寝る時間以外すべて仕事をしているが、毎日授業準備が間に合わずつらい」といった自由記述の声からも、教員の多忙さが伺えます。特に、部活動の顧問などとなると、時間的な余裕がさらに失われるとの声が多く上がりました。
休憩時間の不足
また、調査結果は教員が業務の合間に十分な休憩を取れていない実態を示しています。全体の65.6%が「ほとんど休憩を取れない」と回答し、休憩時間が確保されているのはわずか1.5%という衝撃的な数字が示されています。教員たちは、6時間目の授業が終わった後にわずか15分しか休憩できない現状に苛まれています。多忙な日々が続く中、トイレに行くことさえできないという声もあり、健康面への影響も懸念されています。
持ち帰り残業の猛威
調査の結果、半数以上の教員が週に3日以上持ち帰り残業を行っていることも明らかになりました。家庭環境や学校での集中できない環境から、教員たちは仕事を自宅に持ち帰らざるを得ない状況にあります。「働き方改革」と謳われる中でも、現場の実態が反映されていないとの声が多くなり、教員は自分の幸せをすっかり諦めてしまうことが現実であると指摘しています。
教員の熱意と苦悩
一方で、子どもたちの成長が教員たちを支えているというポジティブな面もあります。「子どもの成長があるから辞められない」という声が多く、満足感を見いだす部分も少なからず存在しています。しかし、その一方で、保護者からの理不尽なクレームや目的の不明瞭な会議に参加するストレスが、教員たちの心に重くのしかかっています。
今後の見通し
このような状況を受け、教育の現場における働き方改革は急務です。教員給与特措法では、2029年度までに月あたりの時間外労働を30時間程度まで減らす目標が設定されていますが、実際の業務量や業務設定の見直しが必要不可欠です。教員の労働を支える体制の構築が急がれています。
アンケートで多く見られた「個別対応や授業の補助を行う人材の配置」は、教員が本来の教育にもっと集中できる環境を整えるための重要な要素でしょう。
これからの教育環境を改善するために、我々も教員のQOL向上に向けた施策を多角的に考える必要があります。私たちもこの調査結果を元に、引き続き教員の実態に即した支援策を模索していきたいと思います。
さらに、Webサイト「みんなの教育技術」では、教員たちのリアルな声を配信しています。詳細な内容をぜひご覧ください。