日本酒の新たな魅力が見える「環プロジェクト」が、昨年のSDGsジャパンスカラシップ岩佐賞を受賞しました。このプロジェクトは、低環境負荷のものづくりを目指して日本酒を中心に地域の資源を有効活用する試みです。
地エネの酒「環」
「環プロジェクト」の中核を成すのが、地エネの酒「環(めぐる)」です。この純米吟醸酒は、兵庫県特産の山田錦を使用しており、地域の農家や酒蔵の協力によって生まれました。「呑むと地域の資源が回りだす。地球環境への負担を減らす。そして、もちろん美味しい」という理念のもと、農業と酒造業が一体となった取り組みです。
持続可能な農業との連携
環プロジェクトは、酪農業におけるバイオガスの活用からスタートしました。地元の酪農家が生産するバイオガスを使用して給湯や発電を行い、またその副産物である消化液を利用して、有機栽培に必要な肥料を供給します。この方法により、農作物のエネルギー資源が持続可能な形で確保され、気候変動にも配慮した脱炭素農法が進められています。
各地の酒蔵が生み出す多彩な銘柄
現在、環プロジェクトからは7つの酒蔵がそれぞれの銘柄を醸造しています。これには、大関や櫻正宗、福寿など、兵庫県の歴史ある酒蔵が名を連ねています。商品名「地エネの酒環」は720ミリリットルで税込2,200円にて販売されており、その美味しさと環境配慮が消費者の心を捉えています。
地域開催のセミナーと交流会
SDGs岩佐賞受賞を記念したイベントとして、2025年5月8日に神戸市産業振興センターで開催されるセミナーと交流会も注目です。ここでは、環プロジェクトのリーダーや酒米生産者が登壇し、地域資源の循環と脱炭素農法に関する講演が行われる予定です。また、日本酒の醸造者たちとの交流を通じて、より深い理解を得る機会も提供されます。
「SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞」とは
SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞は、SDGsの推進に寄与する個人や団体の功績を称えるために設立された賞です。医療、教育、福祉、環境など幅広い分野での活動が認められ、多くの受賞者がこれを支えています。地域の持続可能な発展を目指す「環プロジェクト」は、まさにその理念に沿った取り組みと言えるでしょう。
まとめ
地エネの酒「環プロジェクト」は、地域資源を循環させながら美味しい日本酒を作り出すことに成功しています。SDGsの観点からも注目されており、今後もその取り組みは続くことでしょう。人々の食卓に新たな価値を提供する「環」は、これからも地域と共に歩んでいきます。