29歳の起業家僧侶が目指す終活の新しい形
2024年11月15日、東京都文京区を拠点にするWaterhuman株式会社の代表取締役であり、僧侶でもある新谷亮氏が、ライフエンディングに関する体験談を集めたWebメディア『アカシカレコーズ』を立ち上げるためにクラウドファンディングを開始しました。このメディアは、一般的にはあまり話題にされることがない終活や相続、介護などの課題について、リアルな体験を共有し読者に新たな視点を提供することを目的としています。
新谷氏の起業家としての背景
新谷氏は、東京・文京区でお寺の復興活動や地域貢献に取り組む一方、自らのITスタートアップであるWaterhuman株式会社を運営しています。その活動の中で彼は、ライフエンディングというテーマに関わる必要性を強く感じるようになりました。これは、彼自身がイスラエルでの経験を通じて多くの高齢者が生き生きと社会に参加している姿を見たからです。対照的に、日本では高齢者が孤独や準備不足に直面している現実を目の当たりにし、「誰もが自分らしい最期を迎えられる社会を築きたい」との思いに至りました。
ライフエンディングに関する課題
新谷氏は、長年の僧侶としての経験から、人生の終末期における準備不足が大きな問題であることを認識しています。彼は、自身が目の当たりにした人々の後悔や混乱を活かし、困難を解消するための具体的なステップを提示したいと考えています。これに基づき、ライフエンディング体験談を集約し、これをメディアとして展開する『アカシカレコーズ』の構想が生まれました。
社会全体での終活の必要性
「終活」という言葉は2009年に生まれてから15年が経ち、特に高齢者の間で浸透してきました。しかし、社会全体で見てみるとまだ十分とは言えません。特に「死の外部化」という現象が顕著で、家族が看取りを行うのが一般的だった時代から、病院や老人ホームで迎えることが多くなっています。この変化が、人生の終盤における孤独や不安、準備不足といった問題を生んでいるのです。
多死社会の到来
さらに、日本は2025年に団塊世代の多くが75歳以上となる本格的な多死社会を迎えることが予想されます。この状況で、終活を無視することはできず、しっかりとした準備が求められています。新谷氏は、これまで個人の経験として語られてきた体験談を集め、社会全体の知見として整備していくことが重要だと述べています。
クラウドファンディングの概要
このプロジェクトでは、クラウドファンディングを通じて2つの目的を達成しようとしています。1つ目は、多くの人々が「自らの体験談を共有する意向があるか」を明らかにすることです。2つ目は、得られたフィードバックを基にサービスを改善することです。すでに、活動開始直後から多くの支持が集まっており、ユーザーとのコミュニケーションを通じてエンゲージメントを高めていく考えです。
今後の展望
2025年にはさらに大規模な資金調達を行い、自身のメディア構築を進めていく予定ですが、その目的は「終活を特別なもの」ではなく「日常の一部」として広げていくことです。クラウドファンディングの募集は2024年1月10日まで続く予定で、必要な資金は100万円です。皆さまのご支援を心よりお待ちしております。
まとめ
新谷氏の取り組みは、終活を「重い課題」と捉えるのではなく、「誰もが前向きに向き合えるテーマ」とすることを目指しています。このプロジェクトは、未来への不安を軽減し、より豊かな時間を提供するためのスタート地点です。『アカシカレコーズ』を通じて、ライフエンディングについて考え、行動を起こすきっかけを提供したいと願っています。