中間管理職への志向と企業の期待のギャップに迫る調査結果
ロバート・ウォルターズ・ジャパンが実施した調査が、20代~30代前半の若手社員における中間管理職の位置づけについて新たな事実を明らかにしました。調査は、日本国内企業で働く1,107名を対象に、オンライン形式で行われ、管理職に対する意識とキャリア行動が探求されました。
調査の背景と目的
中間管理職が不足しているという指摘が一般的にされる中、調査は「中間管理職への意欲」と「転職に対する自信」を分析し、職場環境における構造的な課題の解明を目指しました。結果は、単純にキャリア構造や育成の問題に留まらない複雑な実態を浮き彫りにしました。
調査結果の概要
調査結果からは、興味深いポイントがいくつか見えてきました。
1. 中間管理職を目指す人々の意欲は高い
全体の約65%が「キャリアアップのために中間管理職に就きたい」と回答。従来の「若手は管理職を敬遠する」という見方とは異なり、実際には多くの若手社員がキャリアの一環として中間管理職を捉えていることがわかりました。中間管理職を目指す理由には、将来的に組織の方向性に影響を与えられることや、より高い給与が挙げられ、前向きな意欲がうかがえます。
2. 意欲が高いほど転職市場への興味も
中間管理職を目指す志向が高い層ほど、転職活動に取り組んでいる割合も高いことが判明しました。転職と中間管理職の意欲は密接に関連し、必ずしも社内に留まることを選ばない姿勢が見られます。特に、必要と感じているが望まない層では40%が転職活動に取り組んでいます。
3. 企業側の期待と現実のギャップ
企業向け調査では、97.3%が中間管理職の重要性を認識している一方、多くの社員は高いストレスとそれに見合わない報酬が中間管理職に就くことをためらわせていることがわかりました。報酬や裁量に対する期待は企業側の認識と大きく乖離している状況です。
課題の本質は「役割設計」にあり
調査結果からは、企業が中間管理職を確保したい意欲があるにもかかわらず、中間管理職の役割設計がその意欲に応じていないという問題が浮き彫りになっています。
中間管理職が直面する現実
多くの若手・中堅社員が「中間管理職は責任が重いが、裁量や評価がそれに見合っていない」という認識を持っていることが、転職希望者の増加に影響を与えていると言えます。このギャップを解消しない限り、中間管理職の補充は難航するでしょう。
ジェレミー・サンプソンの意見
ロバート・ウォルターズ 北東アジア CEOは次のように述べています。「日本の労働市場は長期雇用を前提にしてきたが、今後はリーダーシップ志向の強い人材ほど、転職を選ぶ現実が顕著化する。」とし、企業には新たな取り組みが求められると強調しています。
まとめ
中間管理職は企業の運営において重要なポジションでありながら、真実は異なるという壁に対峙しています。それだけではなく、意欲のある人材を維持するためには、責任に見合った報酬や評価、成長の機会が提供される必要があります。企業は「役割の再設計」に取り組むことが求められています。意欲のある人材が「中間管理職に留まるための環境」を用意できるかどうかが、今後の人材育成においてカギとなるでしょう。