企業のジョブ型採用導入状況と学生の配属希望の実態調査
新卒採用を巡る動向が年々変化する中、2025年卒業予定の学生と企業を対象に実施した調査結果が、注目を集めています。この調査では、学生の配属希望に対する意識や、企業の実施する採用形態について明らかにされました。
学生の配属先に対する希望
調査結果によると、学生の約8割が、選考や内定時に配属先の部署を知りたいと回答しました。この割合は前年からの増加傾向にあり、特に昨年の24卒からは0.5ポイント、さらに一昨年の23卒と比べると約5ポイントの増加が見られています。学生たちは、入社前に配属先を知ることでより具体的な職場イメージを持ちたいと考えているようです。
配属先の情報が事前に知らされることで、働く前の心の準備が整うと考える学生も多く、最も多い理由としては「入社までに働くイメージを持ちたい」が73.6%、次いで「心の準備ができる」との意見が59.4%となっており、このニーズの高まりが伺えます。
入社後の配属先の影響
一方、もし希望の部署に配属されなかった場合の対応については、9.8%の学生が「すぐに転職を考える」と回答しました。しかし、その他の多くの学生が「わからない」または「数年後に考える」と答えており、入社後の状況を見ながら転職を検討する姿勢が強いことが分かります。
さらに、希望部署に配属されるために実施している取り組みについて尋ねると、39%の学生が「特に何もしていない」と回答しています。33.4%は人事に自分の希望を伝えているものの、大学での専攻や課外活動に精力的に取り組んでいる学生は少数派であることが明らかになりました。
企業のジョブ型採用の現況
調査の中では、企業のジョブ型採用に関する導入状況も調査されていますが、回答した企業のうち7割以上はこの採用形態を導入していないという結果が出ました。具体的には、37.6%の企業は「導入しない」と回答し、次いで36.1%の企業が「未定」と答えています。この背景には、内定を出す段階で配属先を決めることが困難であるという理由が多く、高いフレキシビリティを求める企業環境が影響していると考えられます。
学生のニーズと企業の実態のギャップ
調査結果を総合すると、学生側はジョブ型採用に強い関心を示しているものの、企業側はその導入に慎重な姿勢を持っていることが明らかとなりました。具体的な職務内容や求められるスキルを明示することが、学生にとっての魅力にもつながる可能性があるため、今後の採用活動にどのように反映されるのか注目です。
結論
この調査からは、ジョブ型採用の導入に対する企業の難しさと、それに対する学生たちのニーズのギャップが浮き彫りとなりました。入社前に配属先を知りたいという学生の声が高まる中、企業側の採用戦略も見直しが求められそうです。今後の新卒採用の在り方を考える上で、非常に興味深い結果と言えるでしょう。