じゃがいもの未来を見据えた安全管理と品種活用の最新情報

日本家政学会第77回大会レポート

じゃがいもの新たな可能性を探る

2025年6月1日、東京都内で行われた日本家政学会第77回大会において、ケンコーマヨネーズ株式会社が主催し、『これは知らなかった！！いも類の不思議な世界』と題したランチョンセミナーを開催しました。このセミナーでは、じゃがいもの安全性や品質管理、さらには今後の品種活用に関する最新の知見が発表され、約80名の大学関係者が参加しました。

じゃがいもの貯蔵特性

講演では、参加者と共にじゃがいもに関するクイズを行いながら、貯蔵特性に関する重要な情報が提供されました。まず、じゃがいもは収穫後に貯蔵される期間中、ショ糖や果糖、ブドウ糖といった糖分が増加していくことが確認されています。特に、男爵やさやかといった品種は、収穫から春先にかけて糖分が高まる傾向があることが説明されました。

さらに、貯蔵末期においては芽が伸び始め、呼吸が活発になることから糖分が減少する場合もあります。このような特性により、糖度や芽の動きが製品の食感や見た目に影響を及ぼすため、サラダ適性品種の選定や貯蔵管理を徹底することが品質管理において crucial です。

安全性対策とリスク管理

また、じゃがいもにはグリコアルカロイド、特にソラニンやチャコニンが含まれており、これらは芽や緑化した表皮に集中して蓄積されるため、食中毒の原因となることが指摘されました。発芽や光による緑化がグリコアルカロイド濃度を上げる要因であり、部分や品種ごとに濃度の差があることが示されました。これに対しては、素材段階でのリスク評価と継続的なチェックが不可欠であるとのことです。

国内品種の現状と未来

国内でのじゃがいもの品種数は年々変動しています。令和元年の85品種から、令和5年には70品種に減少するなど、消費者のニーズに応じた品種改良が進められている様子がうかがえます。「さやか」や「ピルカ」、「はるか」といった比較的新しい品種は、皮剥きがしやすく調理・加工に適しているため、利用が進んでいます。

特に、ジャガイモシストセンチュウに対する抵抗性品種は、近年重要視されており、ケンコーマヨネーズでも積極的に活用していく予定です。農業特性に優れた品種の育成や新たな特性情報の提供を通じて、持続可能なじゃがいも生産のために努力を続けることが表明されました。

品質向上への取り組み

今後もケンコーマヨネーズは、じゃがいもの多様な特性に基づいた細やかな管理を行い、病害抵抗性品種の導入を進めていく方針です。お客様に安全かつ安心できる製品を提供するため、体制の整備や品質の向上に向けた取り組みを強化していきます。セミナー参加者へのじゃがいもサンプルの配布も行われ、今後の関心を集めました。