不動産オーナー意識調査2025: 構造的な課題とデジタル化の格差を浮き彫りに

「不動産オーナー意識調査2025」の結果発表

株式会社CBITが実施した「不動産オーナー意識調査2025」の結果が公表され、不動産業界の重要な問題が明らかになりました。本調査は、賃貸物件オーナーの意識を把握し、経営に対する課題やニーズを可視化することを目的としています。

調査の背景

近年の賃貸市場は物価の高騰や金利の上昇、さらには少子高齢化といった外的な環境変化に直面しています。このような背景のもと、CBITは「ビズアナオーナー」と呼ばれる収支管理システムを通じて、不動産オーナーの経営支援を行っています。

今回の調査は、全国から136名の賃貸オーナーを対象に行われました。調査結果は、日本の賃貸住宅市場の未来に対する懸念を浮き彫りにしました。

調査のハイライト

最も注目すべき点は、調査対象者の48%が「承継者未定または売却予定」であったことです。この結果は、日本の賃貸市場における“大廃業時代”の到来を予感させるものです。加えて、物価高に対する何らかの対策を講じたオーナーは88%に達する一方で、58%はデジタル化に「特に何もしていない」と回答しました。これはデジタル化において大きな格差が生まれていることを示しています。

主要な調査結果

1. 事業承継の問題: 調査結果によると、オーナーの48%が承継者が決まっていない現状に直面しており、これに加え、「承継者はいるが計画がない」とするオーナーは35%にのぼります。これにより、実に83%のオーナーが事業承継に悩んでいる状態です。

2. 物価高騰と経費上昇に対する対策: 家賃値上げや経費削減を行ったり検討したりしているオーナーは、62%に達しています。ただし、その手法に偏りがあり、設備投資による差別化はわずか17%の高低にとどまっています。

3. デジタル化の進展について: オーナーの58%がデジタル化に「特になし」と回答しており、入居者が求めるインターネット環境の整備が進んでいない現状が指摘されています。デジタル化の遅れは、物件の競争力を大きく左右する要因となり得るでしょう。