ゴッホの新しい視点を届ける絵本『ゴッホとひまわり』

ゴッホの新たな視点を伝える絵本『ゴッホとひまわり』

東京・築地に位置する出版社、株式会社月と文社がフィンセント・ファン・ゴッホの「ものの見方」をテーマにした絵本『ゴッホとひまわり』の発売を発表しました。この本は2025年4月10日のリリース予定で、オランダの著名な漫画家バーバラ・ストックによって描かれています。

ストック氏のアプローチ

本書はバーバラ・ストック氏が2019年にアムステルダムのファン・ゴッホ美術館の協力を得て制作した作品です。ゴッホの故郷オランダで高い評価を受け、その後英語版も出版されました。日本語版の翻訳はオランダに在住する翻訳者の川野夏実氏が担当しております。ストック氏は、先に出版されたグラフィックノベル『Vincent』（日本語版『ゴッホ最後の３年』）でも知られていますが、この『ゴッホとひまわり』は彼女の初めての絵本作品です。

本書の内容

絵本の物語は、ゴッホが絵のテーマを探しに出かけるところから始まります。読者はゴッホと一緒に散歩しながら、彼のユニークな視点を体験できる仕掛けになっています。例えば、美男美女よりも独特な顔立ちの人々に惹かれる描写や、誰もが見過ごしがちな物事に焦点を当て、「絵に描きたい」という感情を掻き立てていく過程を通して、ゴッホの純粋さが浮き彫りになります。

物語のクライマックスでは、ゴッホはひまわり畑に到着し、枯れて地面に落ちたひまわりを拾って持ち帰ります。このエピソードは、著名なゴッホの『ひまわり』の絵に繋がります。作品に描かれるひまわりは、実はしおれかけており、ゴッホがその姿を「美しい」と感じ、情熱を注いで描いたことが読み取れます。

メッセージの重要性

絵本には、「もしみんながかんぺきだったら世界はつまらない」というフレーズが描かれており、完璧でないものの魅力について語っています。読者は「自分だけのものの見方」を育むことができ、他者とは異なる視点を楽しむことができる内容です。これは、子供たちにとって大切なメッセージとして、裏表紙にも明記されています。

「みんながきれいだと思わないものでも、自分だけがきれいだと思うものがあれば、それを愛していい」という考え方を通じて、多様性の大切さを教えてくれます。

ゴッホに注目の2025年

2025年は、ポーラ美術館や東京都美術館、神戸市立博物館などでゴッホ関連の大型展覧会が開催される予定です。これにより、ゴッホのアートに対する関心が高まります。このような時期だからこそ、『ゴッホとひまわり』という絵本は子供から大人まで、多くの人にゴッホの魅力を伝える重要な一冊になるでしょう。

作者情報

作者バーバラ・ストックは1970年にオランダで生まれ、ジャーナリストとして活動した後、漫画家・イラストレーターとしての道を選びました。彼女の作品は多くの国で翻訳され、世界的ベストセラーになりました。彼女が手掛ける『ゴッホとひまわり』には、彼女自身の視点が色濃く反映されています。

訳者情報 川野夏実氏は、オランダで教育を受け、フリーランスの日本語教師としても活動されています。彼女の翻訳によって、ストックのメッセージが日本語でも伝わります。