常石造船、フィリピン初のメタノール燃料船建造へ向けた新たな挑戦

常石造船、フィリピンにおける新たな挑戦

常石造船株式会社（本社：広島県福山市）がフィリピンにある常石グループ企業で、TSUNEISHI HEAVY INDUSTRIES (CEBU), Inc.（以下THI）と共に新しい船型の建造に取り組んでいます。このたび、2025年4月21日にTHIの第二船台で、最初のメタノール燃料を使用するKAMSARMAX型ばら積み貨物船の第一ブロックの搭載が無事完了しました。

メタノール燃料船の概要

この新型船は、2025年7月に進水し、2026年1月に引き渡される計画です。メタノール燃料を活用したことにより、従来使用されている重油からの排出量が大幅に減少する予想が立っています。具体的には、窒素酸化物（NOx）を最大80%、硫黄酸化物（SOx）を99%、そして二酸化炭素（CO2）については最大10%削減される見込みです。この取り組みは、SDGs（持続可能な開発目標）への貢献としても、大変意義のあるものと言えるでしょう。

新技術と設備投資

THIではメタノール燃料船の建造に初めて着手することから、新しい設備投資を行い、常石造船から専門的な人材を派遣して研究開発とトレーニングも実施しています。特に、メタノール燃料タンクの製作技術やその構成部材に関するスキルを習得するために積極的に取り組んでいます。これにより、同社は造船業界において競争力を強化し、持続可能な未来を実現するための技術革新を推進していく方針です。

船舶の特長

KAMSARMAX型の本船は全長229メートルで、貨物の積載量は98,000立方メートルに達します。このサイズは、鉄鉱石、穀物、石炭といった主要なバルク貨物の柔軟な輸送が可能な設計となっており、商業的にも高い可能性が期待されています。さらに、この型の船は常石造船のロングセラー商品であり、2024年には400隻の竣工を達成する見込みです。これまでの業績に新たな挑戦が加わり、業界全体に新風を巻き起こすことが期待されます。

地域への影響

このメタノール燃料船の建造は、フィリピンの造船業界にとっても画期的な出来事です。常石グループは、30年以上にわたる innovationの歴史を持ち、新型船の開発を通じて業界をより持続可能な未来へと導く役割を担っています。これにより、地域経済にも恩恵がもたらされ、雇用の創出や技術革新の促進が期待されます。