東西文明対話シンポジウムがTokyoで開催
2025年7月22日、東京・赤坂の多元文化会館にて、『東西文明比較互鑑』の出版3周年を記念して「東西文明対話学術シンポジウム」が開催されました。このイベントは、同書の学術的および社会的影響を検証し、新時代における東西文明対話の深化を目指したものです。
シンポジウムは一般財団法人日本アジア共同体文化協力機構とアジア太平洋観光社の共催で、多くの文化関係者が一堂に会しました。参加者には、日中友好会館の中国側代表・黄星原氏や、中国研究所会長の田中哲二氏などが含まれ、約30名の専門家が会話を交わしました。
開会の挨拶
シンポジウムは、元駐中国大使であり日中友好会館会長の宮本雄二氏による開会挨拶でスタートしました。宮本氏は、東西文明対話の重要性に触れ、共催団体の代表としてこのイベントが持つ意義を強調しました。
第一部:講演セッション
講演セッションでは、「日中学者による東西文明対話――現代の世界に東洋文明はどう貢献できるか」がテーマとなり、法政大学名誉教授・王敏氏の司会のもと、以下の講演者がそれぞれの視点を述べました。
- - 宮本雄二氏(前述)
- - 陶徳民氏(関西大学名誉教授・東洋文庫研究員)
- - 小倉和夫氏(元駐フランス大使・青山学院大学特別招聘教授)
- - 婁暁琪氏(首都文明プロジェクト基金会執行会長)
これらの講演者は、現代世界における東西文明の共生や文明間対話の重要性、さらにアジアにおける連帯の可能性について多角的な視点から意見を披露しました。
第二部:パネルディスカッション
後半は、東洋学園大学客員教授の朱建栄氏が司会を務める中、参加者たちによるパネルディスカッションが行われました。自由討論では、文明の共通点やグローバル課題への対応策について熱のこもった議論が交わされました。
シンポジウムの意義
本シンポジウムは、潘岳氏の著書『東西文明比較互鑑』の日本語版が2021年に出版されたことがきっかけで、国際的な議論を促すために実施されました。ウクライナ戦争や他国間の地政学的対立が深刻化する中、文明間の対話がこれまで以上に必要とされています。また、中国やインドの台頭に伴い、東洋文明の再評価も進んでいます。
日本は、東洋哲学と西洋の価値観が融合した独自の社会を持つ国であり、今後の文明間の橋渡し役としての重要な役割が期待されています。文明の衝突が懸念される現在、東西文明の対話は人類の共同体を作るための鍵となるでしょう。
今後の期待
シンポジウムを通じて、次のような成果が期待されています。日本社会における多元多様性の理解が進まり、東西文明対話が一層深化することで、学術研究が促進されること。また『東西文明比較互鑑』の社会的認知度と学術的影響力が向上することです。
このようなイベントを通じて、私たちは未来を見据えた文明間の対話をさらに進めていくことが求められています。堅牢な文化交流の道筋を築くため、今後もさらなる努力が必要です。