老舗グランメゾン「アピシウス」が新たな旅立ち
東京・有楽町に位置する老舗フランス料理店「アピシウス」が、2024年8月20日、新たに4代目シェフとして森山順一氏を迎え入れることが発表されました。約40年の歴史を持つこのレストランは、正統派フランス料理を提供する名店として知られていますが、今回の交代は15年ぶりの出来事です。
「アピシウス」とその由来
1983年にオープンした「アピシウス」は、当時フランス料理を提供する店がほとんどなかった日本において、「日本一のフランス料理店」を目指して誕生しました。店名は、古代ローマの美食家アピシウスにちなんでおり、アール・ヌーヴォー様式の重厚なインテリアが、洗練された大人の社交場を演出しています。一歩足を踏み入れれば、そこは非日常の空間。フランス料理の原点ともいえる正統派の味わいを楽しむことができます。
森山シェフのこれからの挑戦
新しくシェフに就任した森山順一氏は、入社以来、約25年の間に多くの経験を積んできました。高校卒業後、地元の宮崎県でキャリアをスタートさせ、1998年に「アピシウス」に入社。ソース作りにこだわり続け、2013年から副料理長として腕を振るってきました。彼が挑むのは「変えずに変わる」という難しいテーマです。伝統を大切にしつつも、時代に合わせた新しい料理を生み出すことを目指しています。
“アラカルトメニュー”へのこだわり
「アピシウス」が大切にしているのは、ゲストが自ら選べる楽しみです。定められたコースメニューだけでなく、ゲスト一人ひとりの好みに応じたアラカルトメニューを提供し、品数や内容を自由に選べるスタイルが特徴です。このようなアプローチは、料理人の腕前が問われる機会でもあります。
伝統を受け継ぐメニューたち
「アピシウス」には、代々受け継がれる代表的なメニューがあります。
ウニとキャビアの野菜クリームムース
オープン当初から変わらないスペシャリテ。やわらかいカリフラワーのムースで包まれた北海道のバフンウニとイラン産キャビアを、ビーフコンソメゼリーで寄せた冷前菜です。この一皿は海の恵みやリッチなコンソメが絶妙に溶け合い、贅沢な気分を引き立てます。
小笠原産の青海亀コンソメスープ
さらに、「アピシウス」の伝統を体感できるのが、希少な海亀を利用したコンソメスープ。小笠原諸島からのみ供給される青海亀を使用し、特有の風味と豊かなコクを持っています。3日間かけてじっくりと炊き上げたこのスープは、まさに新しい食体験を約束してくれます。
ワインのセレクション
「アピシウス」は、優れたワインリストでも知られています。開業以来、約3万本のワインが保管されており、フランス産の厳選されたワインを中心に新旧取り揃えています。特に1928年の古酒や近年の優れたワインも含まれ、すべてが料理の味を最大限に引き立てる役割を果たします。なお、ワインリストはミシュランの認定を受け、2022年の「世界のベストワインリスト」で3つ星に評価されています。
「アピシウス」チームの魅力
「アピシウス」はシェフのみならず、チーム全体のクオリティが高く評価されています。支配人の白坂明氏を始め、シェフパティシエの上原孝之氏、シェフソムリエの情野博之氏が、それぞれの分野で卓越した技術を持っています。特に情野氏は、ソムリエ界最高位の試験に合格したインターナショナル・ソムリエであり、多くの受賞歴を持つ有名なソムリエです。
店舗情報
最後に、店舗情報をご紹介します。
新たに生まれ変わる「アピシウス」にぜひ足を運び、フランス料理の真髄をご体感ください。