洋菓子店の倒産状況に迫る
近年、洋菓子店の倒産が増加しており、2024年度にはその件数が51件となり、前年からは約60%の増加を見せました。これは1999年度以降で最も多い数字で、過去の最多記録を更新しています。企業分析を行う株式会社帝国データバンクによると、この増加の背景には、原材料価格の高騰や消費者の購買意欲の低下があるようです。
原材料の高騰が影響
具体的には、小麦粉や鶏卵、砂糖、バターといった基本的な原材料の価格が上昇しています。これらのコストがケーキの販売価格に反映できず、営業利益が削られる店舗が増えているのです。また、昨今では人員不足や、安価でコンビニスイーツと競争する大手チェーン店との競争が厳しさを増しています。
実際のところ、ショートケーキの原価は5年間で約20%も上昇しています。また、チョコレートケーキにおいても、カカオ不足の影響で原価が約30%上昇していることが報告されています。このように、ケーキ作りに必要な材料の価格は著しく上昇しているにも関わらず、販売価格を上げることが難しい現状があります。
経営環境の変化
2024年度の調査から、洋菓子店の約30%が赤字を出しており、利益を上げられない店舗が多数を占めています。特に、業績が悪化した店舗は約60%に達し、これは2020年度に次ぐ高水準です。消費者の買い控えが影響しているとはいえ、特に物価が高騰する昨今、価格を上げることも容易ではありません。消費者は、より安くて高品質な商品を求め、結果として、多くの店舗が厳しい競争に投げ出されることになっています。
対策と未来
足元では、洋菓子店も戦略を練り直し、シーズン商品や新商品の投入頻度を高めて来店を促進しようとしています。これにより、1個あたりの利益率を向上させ、経営環境を乗り切ろうとしている店も存在します。しかし、原材料費の高騰が続く見込みがあり、2025年度においても倒産件数が増加する可能性が指摘されています。
まとめ
洋菓子店は消費者のニーズに応える努力を続けていますが、競争が激化し原材料費の上昇が続く中、その経営は厳しい状況が続きそうです。今後の動向に注目が集まります。