京都フュージョニアリングと島津製作所が共同開発した新型ターボ分子ポンプ
京都フュージョニアリング株式会社は、株式会社島津製作所との協力により、フュージョン燃料サイクルシステムに不可欠な新たな「ターボ分子ポンプ」の試作機を開発しました。このポンプは、今後カナダで建設中の統合試験プラント「UNITY-2」で、トリチウムを用いた性能試験を行う予定です。
フュージョン燃料サイクルシステムとは
フュージョンエネルギープラントを効率的に運営するためには、燃料となるトリチウムの供給が欠かせません。トリチウムは炉心から排気・分離・循環される必要があります。京都フュージョニアリングは、このフュージョン燃料サイクルシステムを早くから開発しており、カナダ原子力研究所とのジョイントベンチャー「Fusion Fuel Cycles Inc.」のもと、2026年までに試運転を開始する計画です。
ターボ分子ポンプの重要性
フュージョン燃料サイクルシステムでは、核融合反応を起こさないまま残ったトリチウムや重水素、生成されたヘリウムを効率良く排気し、再利用する必要があります。ここで重要な役割を果たすのがターボ分子ポンプです。特に、トリチウム環境下での運転に対応するためには、専用の設計が求められます。
共同開発の背景
今回のターボ分子ポンプは、世界シェアNo.1の島津製作所と、フュージョンエネルギー分野に精通した京都フュージョニアリングがタッグを組んで開発しました。ポンプはトリチウム環境での長期間の安定運転を可能とし、材料劣化を防ぐ新素材の採用や、磁気軸受型を採用することで摩耗を最小限に抑えています。
特徴と性能
ポンプ内に搭載されたドラッグ型ステージにより、水素のような軽い分子を含むガスに対しても優れた排気性能を発揮します。これは、大量ガスを迅速に排気でき、圧力の変化に即応できる性能を示します。これによりフュージョンエネルギープラントの運用効率が大きく向上します。
企業の紹介
島津製作所は科学技術で社会貢献を目指し、150年の歴史を持つ企業です。産業機器や医療機器など、様々な分野で広く利用されています。一方、京都フュージョニアリングは、京都大学の研究成果を基に2019年に設立され、フュージョンエネルギーの早期実現に向けた取り組みを行っています。
この新型ターボ分子ポンプは、フュージョンエネルギーの未来を切り開く一歩となることでしょう。今後の展開に大きな期待が寄せられています。