電通が手掛ける新たなテレビ広告運用手法
株式会社電通(本社:東京都港区)は、この度、テレビ広告の運用における「エリア内最適化ロジック」に関して特許を取得しました。このロジックは、特定のKPI(重要業績評価指標)を重視し、ターゲットリーチの改善を図るものです。2025年から本格的にサービスを展開する予定です。
現在、テレビ広告は多くの企業が認知度向上やブランド価値の向上を目指して活用しています。しかし、近年ではデータの活用が進み、企業はより柔軟な広告枠運用を求めるようになっています。従来の出稿方法では、様々な制約があり、そのために広告計画を変更することや、多数のKPIに合わせた広告の運用が難しいという課題が存在していました。
電通は、これらの課題に対する解決策を模索し、2016年からAI技術や様々なデータを活用した高度な広告プランニングを進めてきました。そして、新たに開発したエリア内最適化ロジックが、広告主が発注する総額やテレビ局の受注総額を変更することなく、エリアごとのテレビ局を跨いだ広告枠の配分を可能にしました。
このシステムにより、広告運用における制約が緩和され、エリア内での広告効率を最適化することが実現します。これまではGRP(総視聴率)を基準としていましたが、新たにTRP(ターゲット視聴率)など、特定ターゲットに向けた広告効果の向上が見込まれます。
また、エリア最適化には、複数の広告主間の広告枠を柔軟に組み換え、効果を最大化する「RICH FLOW」と呼ばれるシステムも活用されています。このシステムはAIの力を借りており、多様な指標に応じて広告枠を自動運用することができるため、企業ごとに最適な広告運用が可能です。
さらに、過去の視聴率データや番組情報、出演者に関するデータを活用した視聴率予測システム「SHAREST」も開発されており、こちらも複数の特許が取得されています。SHARESTによって、高精度な視聴率の予測が可能となり、企業はデータに基づいて戦略的な広告運用を行うことができます。
今後、電通はテレビ広告運用の効果をますます進化させることを目指し、顧客企業のマーケティング活動や事業成長に寄与していく考えを示しています。広告業界はますますデジタル化が進む中、電通の新たなアプローチが今後どのように影響を及ぼすかが注目されます。