テレビCM初出稿広告主分析とその展望
株式会社博報堂DYメディアパートナーズが運営する「TV AaaS Lab」は、2010年から2024年にかけてのテレビCM初出稿広告主の動向を分析しました。これは関東、関西、名古屋のエリアで初めてテレビCMを出稿した企業のデータを基にしており、その結果から見えてきたのは、最近の出稿傾向や今後のビジネスに対する示唆です。
主な発見事項
ぜひ、以下の4つのポイントから最近のトレンドを確認してみましょう。
1. 安定した初出稿広告主の数
テレビCMに初めて出稿する広告主の数は、ピーク時からは若干減少したものの、依然として高い水準を保っています。特に、2018年度以降は増加傾向が見られ、2021年度にはコロナ禍の影響でDX関連企業の出稿が増加し、最も高い値を記録しました。ここ2年間は減少の兆しが見えるものの、過去14年間の中では比較的良好な状況が続いていると言えます。広告会社や放送局のサポート体制の整備も、大きな要因と考えられます。
2. 出稿量の減少傾向
初年度出稿量は全体として及び1社あたりでともに減少しています。この背景にはコロナ禍が関与し、2020年度が最高値となった後、2021年度以降は出稿量が縮小しています。一社あたりの出稿規模も減少しているため、広告会社や放送局が提供する少額からの出稿サービスが広まっている影響が見受けられます。
3. 法人向けサービス業の定着
2022年度に東京、大阪、名古屋で初出稿した企業の業種を比較すると、法人向けサービス業の方が出稿しやすい傾向があり、占有率が前年から16%も増加しています。これにより、ブランド認知や企業信頼性を向上させる狙いでテレビCMを利用する傾向が明らかになりました。
4. スタートアップ企業の増加
最近5年間と比較して、テレビCM初出稿広告主に占めるスタートアップ企業数が約2倍に増えました。この中で、特に小規模な出稿(1000万円以下)は3倍以上も増加しています。具体的には、運用型で数百万円単位の出稿や、特定の番組や時間帯に数十万円単位で出稿する企業が増加している傾向があります。
出稿パターンの多様性
今回のデータからは、テレビCM出稿のパターンも多様化していることが分かりました。主に「スタートダッシュ型」、「PDCA型」、「ターゲット型」の3種類に分類されます。
- - スタートダッシュ型: 初回から大規模に出稿するスタイル。
- - PDCA型: 効果を見ながらエリアや出稿量を調整していく手法。
- - ターゲット型: 特定の視聴者層や番組ジャンルに絞って出稿する。
特に、スタートアップ企業の多くは小規模出稿を行っており、PDCA型やターゲット型の手法を活用する事例が増加しています。
次世代型モデル「AaaS」
博報堂DYメディアパートナーズは、広告メディアのデジタルトランスフォーメーションを促進する次世代型モデル「AaaS」を提唱しており、特にスタートアップ企業向けの支援プログラムも実施しています。これにより、初めてテレビCMを出稿する企業を対象にした分析や支援プランを提供しています。
今後のビジョン
「TV AaaS Lab」は、テレビビジネスの未来を共創することを目指しています。テレビCM初出稿広告主の動向に対する理解を深めることによって、テレビビジネス全体の価値向上に貢献していくことが期待されています。引き続き、研究開発を進めることで、業界全体の発展を目指していくことでしょう。