入学金二重払い問題がもたらす受験生の選択肢とは？

日本の大学入試における入学金の支払いルールが、受験生に深刻な影響を与えていることが明らかになりました。「合否が確定する前に、進学の意思が不明な大学に入学金を払わなければならない」という制度が、受験生の選択肢を狭め、さらには進学自体を断念する事態を引き起こしているのです。

今回、『入学金調査プロジェクト』が実施した調査では、多くの受験経験者がこの問題に関して、辛い経験を語っています。特に、「入学金の支払いに関する不安」と「受験にかかる金銭的負担」が大きな大きな要因として挙げられました。

調査結果が示す現状

実施された調査では、入学金を支払わなければならず、しかもそのお金が後に戻ってこないことから、合格校が複数あった場合の金銭的な圧迫が明らかになりました。2023年のデータによると、入学しない大学からの入学金収入は約355億円にも達しています。さらに、入学金を分納・延納できる大学はわずか約3％という現実が、それを助長しています。

受験生やその保護者から寄せられた声は次の通りです。特に、20歳の社会人は「予測が難しい中での支払い義務は不合理である」と述べています。このように、多くの受験生が入学金の支払いの影響で、行きたい大学ではなく、実際に通える大学を選ばざるを得ない状況に苦しんでいるのです。

受験生の声

32歳のシングルマザーは、「第二希望の大学が第一希望よりも合格が早く、そのため入学金の工面が間に合いませんでした」と語り、経済的な理由で受験をあきらめざるを得ないと悔やんでいます。また、58歳の保護者は「複数校の入学金で経済的に厳しく、通学費用に回せたはずのお金を無駄にした」と訴えています。たしかにこの問題が、個々の家庭の経済状況に直接的な影響を及ぼしているのは間違いありません。

さらに、19歳の大学生は「事前に入学金を払うしかなかったため、1校に絞って受験するしかなかった。」と証言しており、選択肢が極端に限られてしまうことが浮き彫りになっています。

ぜひ考えたい解決策

このような状況に対して、合格が確定した後に入学金を納付可能にする、あるいは返還制度の充実を図ることが急務です。教育を受ける権利は平等であるべきですが、現状はこれを妨げているといえるでしょう。受験生の負担を軽減し、学びの機会を均等に保証するための取り組みが求められています。

公益財団法人あすのばの取り組みなど、制度の改善に向けた努力も必要です。この問題が社会全体で解決されることを願っています。