長崎初のドローン点検デモ飛行、下水道の新たな時代を切り開く
2025年10月16日、長崎市で下水道管内部の点検を行うためのドローン「IBIS2」のデモ飛行が行われました。この試みは、株式会社Liberawareと九電ドローンサービス株式会社の共同で実施され、長崎市上下水道局及び公益社団法人日本下水道管路管理業協会九州支部長崎県部会の協力を得て実現されました。現地には約30名が参加し、ドローンを用いた点検技術の有効性や安全性を検証しました。
「IBIS2」とは?
「IBIS2」は、狭く暗い危険な屋内空間での点検・測定に特化した世界最小級のドローンです。その特性により、これまで困難だった場所での飛行や安定した撮影が可能になり、点検映像の鮮明さも向上しています。具体的な外形寸法は194mm × 198.5mm × 58mm、重さは243g(バッテリーを含む)と、持ち運びやすく設計されています。日本製のこのドローンは、今後の地元のインフラ点検に革命をもたらすかもしれません。
デモ飛行の成果
このデモ飛行の主な目的は、ドローンによる安全かつ効率的な点検を行うことでした。長崎市の下水道管内は、深さ13m以上に位置し、中間スラブが複数ある複雑な構造を持っていましたが、「IBIS2」は人の立ち入りを避けながらも内部調査を行うことに成功しました。専用の籠と信号中継器を効果的に設置することにより、操作の安全性が確保されました。
デモ期間中には、撮影した映像を元に3Dモデルを生成する点群データ作成も実施し、管路内の現状確認能力を実証。参加者からは「ドローン調査は従来の手法では難しい箇所も調査できることを示した。特に広範な管路の健康状態の把握に役立つと感じた」といったコメントが寄せられました。
今後の展望
LiberawareとQDSは、デモの結果を受け、新たな技術の導入や社会実装の推進に向けた取り組みを継続する意向を示しています。また、参加者のフィードバックを活かし、さらなる技術開発によるさらなる効率化を目指すとしています。
九州電力のドローンサービス
九電ドローンサービス株式会社は、2024年に設立された新しい会社で、九州電力の社内設備点検にドローン・ロボット技術を導入しています。今後は、設備点検に限らず、測量や空撮など幅広いサービスを提供していく計画があります。この新たな取り組みが、地域社会の安全性向上に寄与することが期待されています。
結び
今回のドローン点検デモは、長崎市における新たな試みとして位置づけられています。狭小空間での点検は今後のインフラ管理において重要な役割を果たすと考えられており、これにより安全で持続可能な社会の実現へ一歩近づくことでしょう。今後もこの技術がどのように発展していくのか、目が離せません。