川井雄仁の新たな陶芸作品に魅了される展覧会
2025年5月17日から6月28日まで、東京・天王洲のKOTARO NUKAGAで川井雄仁の個展「神様、もう少しだけ」が開かれます。彼の作品は、感情の波を捉えた陶芸として知られ、作品の中には独自の視点と深いメッセージ性が反映されています。
この個展は、川井が思春期に抱いた「理想的な家族像」と、その理想との間のギャップをテーマに展開されます。展示される新作の陶芸、写真、インスタレーションは、理想と現実が交錯する空間を形成します。川井が触れる陶土は、ただの素材ではなく、彼にとっては虚構や矛盾、深い願望を映し出す媒体です。
過去のポップカルチャーの影響を受けた川井は、90年代後半から2000年代初頭にかけて見た理想的な家庭像を再評価します。そして、それを四十代を迎えた現代の自分と対比させ、個人的な記憶や文化的要素をより深く探求します。彼は、虚構の家族写真のような作品を通じて、満たされない希望や年齢を重ねたことから生じる感情の重みを具象化しようとしています。
川井の陶芸作品は、見かけ上は脆弱に見えるかもしれませんが、一つの形としてしっかりと立ち上がっています。それは、理想の家族像を簡単に認めるでも、否定するでもなく、個々人の羨望と拒絶の間で揺れ動く感情を表現しています。陶土で作り出される作品は、社会が求める役割を果たせなかったことへの戸惑いや、残された思いを静かに示唆します。
川井にとって陶芸は、失ったものや恥ずかしさ、ユーモアを記録する柔軟で壊れやすい霊性を持つ素材です。「神様、もう少しだけ」は、私たち自身の現実と不安定さを見つめ直す場となるでしょう。
展示会の詳細は以下の通りです。ぜひ、ひと時を川井雄仁の繊細な世界で過ごしてください。
開催概要
- - 会期: 2025年5月17日(土)– 6月28日(土)
- - 開廊時間: 11:00 – 18:00(火 – 土)
- - 休廊日: 日月祝
- - 会場: KOTARO NUKAGA
〒140-0002 東京都品川区東品川1-32-8 TERRADA Art Complex II 1F
この展覧会を通じて、川井の革新的な陶芸表現を体験し、彼の作品が放つ新たな視点をお楽しみください。