軽度認知症当事者92％が支援で自立した生活を維持する意識調査結果

認知症当事者の自立を支える調査結果

日本イーライリリー株式会社が発表した意識調査の結果は、軽度認知障害（MCI）または認知症と診断された当事者の92%が、支援を受けることで自立した生活を維持していることを示しています。この調査は、当事者とその家族190名、一般生活者1053名を対象に実施され、生活実態のギャップを暴露することを目的としていました。

調査によると、「自分のことは自分でできる」または「支援があれば自立できる」と答えた当事者・家族は92%に達しました。また、76%の当事者が早期に診断を受けたことを「良かった」と感じていると回答しており、早期診断の重要性が強調されています。病気の進行を抑え、当事者が自分らしい生活を続けるために、早期に問題に気づき、適切な支援を受けることが不可欠だと考えられます。

受診意向の差

調査では、MCIや軽度認知症の当事者およびその家族の大多数が、少しでも異変を感じたら速やかに医療機関を受診すると答えている一方で、一般生活者は「もの忘れ」に対する受診意向が低いことが判明しました。具体的には、認知症当事者の75%が異変を感じた際に医師に相談する意向を示したのに対し、一般生活者ではこの割合が48%にとどまっています。このことは、一般生活者が認知症の診断を受けるまでの時間が長引く可能性を示唆しています。

エキスパートからの意見

神戸大学の古和久朋教授は、「MCIや認知症の診断と治療は進歩しているが、受診までに年単位の時間がかかることが多い」と述べています。認知症と加齢による自然な「もの忘れ」の区別は難しく、不安を感じた際には早めに専門家に相談することが薦められます。

認知症の現状

現在、国内には460万人以上の高齢者が認知症を患っており、2030年には600万人に達する見込みです。このため、2024年には「認知症基本法」が施行され、認知症を持つ方が自分らしい生活を続けられるような環境整備が急がれています。

日本イーライリリーは、引き続き認知症に関する正しい理解の普及とともに、当事者やその家族に寄り添った支援を推進していく意向を示しています。今後も、社会全体で認知症への偏見をなくし、共生社会の実現に向けた取り組みをサポートすることが重要です。