第53回信頼性・保全性・安全性シンポジウムの成果
2024年7月18日から19日にかけてオンラインで開催された「第53回信頼性・保全性・安全性シンポジウム」では、日本のものづくりを支える研究者や技術者による発表が行われ、各賞の受賞者が決定しました。主催する一般財団法人日本科学技術連盟(日科技連)は、信頼性、保全性、安全性に関連する問題解決のための知見を共有する重要なプラットフォームとして、毎年数多くの発表を集めています。
今回のシンポジウムでは、発表者全員が各テーマについて貴重な経験と知識を交換し、参加者はその成果を基に投票し、厳正な審査を経て受賞者が選ばれました。毎年恒例のこのイベントでは、製品の信頼性を向上させる新たな知見や手法が提案され、業界の発展に寄与することを目指しています。
受賞内容
各賞は以下の通り決定されました。
優秀報文賞
- - 報文名: Bayesian Active Learningを用いたリジッドアクスルサスペンションのセットベース設計法
- - 著者: 白石 英樹 (トヨタ自動車株式会社)
受賞理由: 複数の性能目標を満たす設計方法の明確化が評価され、特に機械学習を利用した新しいアプローチが聴衆にわかりやすく提示された点が高く評価されました。
優秀事例賞
- - 発表事例: 市場環境下の車載電子部品のはんだ熱疲労予測法の適正化
- - 著者: 西森 久雄、武藤 潤、古川 智之 (トヨタ自動車株式会社)
受賞理由: 市場環境における熱疲労の定量化を行う新しい評価法が実用性を持ち、高い評価を得ました。この方法は、実際の製品開発に非常に役立つものとして期待されています。
奨励報文賞
- - 報文名: 有限要素法解析を用いた電子機器の耐振性評価手法
- - 著者: 中道 徳馬、竹中 国浩 (株式会社安川電機)
受賞理由: 設計段階での電子機器の耐振性評価が容易に行える手法が提案され、技術力の高さと今後の発展が期待される内容として評価されました。
奨励発表賞
- - 発表事例: ツース脱落/転石検知支援システムによる現場の生産性・安全性向上
- - 著者: 江本 遼平 (株式会社小松製作所)
受賞理由: AIを活用した直面した問題解決の手法が具体的に示されたことが評価され、実地での運用に活かされる可能性が高い内容となっています。
このシンポジウムは、信頼性・保全性・安全性分野の長い歴史を持つサミットであり、多様な技術や理論が発信されています。参加者は、実際の経験から得た知見をもとに討論し、相互に学ぶことができる貴重な機会を得ました。また、日々の技術の進化に貢献する研究成果や実践を広めることで、業界全体の発展につながることが期待されています。
さらに、受賞作品や発表内容の詳細は、日科技連のウェブサイトでも紹介されており、今後の技術者や研究者の参考として多くの人々に利用されています。今後も信頼性・保全性・安全性に関する研究はますます重要性が高まり、次年度のシンポジウムにも大いに期待が寄せられています。