サン工業が発表した耐フッ酸めっき技術の進捗と展望
サン工業株式会社(本社:長野県伊那市)は、半導体製造における重要な課題解決のために「耐フッ酸めっき(無電解Ni-Wめっき)」の開発を進めています。この技術の進捗について、先日開催された「表面技術協会第153回講演大会」で報告が行われました。代表取締役社長の川上健夫が率いるこの会社は、高まる半導体需要を受け、生産コストや装置の寿命を改善することを目指しています。
半導体需要の拡大とその背景
AI、IoT、5G/6G、自動運転といった先端技術の進化に伴い、半導体への需要が急速に増加しています。デジタルトランスフォーメーション(DX)が進む今、半導体チップはさまざまな産業に欠かせない存在だと言えるでしょう。しかし、製造工程には多様な課題が存在します。特に「フッ酸洗浄・エッチング」という工程では、フッ酸が使用されるため、金属部品の劣化や腐食が進みがちです。このため、高価な貴金属や特殊な耐食合金に依存せざるを得ない状況が続いています。
耐フッ酸めっきの新技術
サン工業は、この問題に立ち向かうため、腐食に強く、高硬度を持つ新しい無電解めっき技術の開発を進めています。完全に実用化されれば、従来型の高価な特殊素材に代わる、コスト面でも優れた代替素材になる可能性を持っています。この「耐フッ酸めっき」は、以下の特長を有しています:
- - 耐フッ酸性:厳しい環境下でも優れた耐食性を発揮し、装置部品の劣化抑制に寄与。
- - 熱処理による高硬度:耐摩耗性が高まり、精密な半導体製造装置の信頼性を向上。
- - コスト削減への貢献:高級特殊素材の利用削減により製造コストを低減。
- - 装置の長寿命化:部品交換頻度を下げ、生産ラインの効率を向上させる。
学会での成果と展望
サン工業は、2026年の講演大会において、耐フッ酸めっきの技術的な取り組みを発表しました。開発課の水品愛都と河合陽賢が「無電解Ni-W合金めっきの開発と耐ハロゲン性の評価」というテーマでプレゼンテーションを行い、技術の特性と評価結果を詳述しました。
講演を通じて得られた知見を基に、さらなる研究開発を加速し、半導体製造装置部品への実用化を進めます。技術が幅広い分野で利用されることで、日本の国際的な半導体競争力を高める一助となることが期待されています。
サン工業株式会社の概要
1949年に設立されたサン工業は、半導体機器や自動車部品、産業機械向けの表面処理技術を提供しています。40ラインを持つめっき設備は、20種類以上のめっきに対応可能で、ISO9001・IATF16949認証を取得しています。高品質な表面処理技術を通じて、さまざまなニーズに応え続けているのです。
- - 本社所在地:長野県伊那市西箕輪大芝原2148-186
- - 設立年:1949年
- - 代表者:川上健夫
- - 資本金:9,000万円
- - URL:サン工業公式サイト
この取り組みがさらなる実を結び、半導体に関わる業界全体にポジティブな影響をもたらすことを願っています。サン工業の今後の活動に注目です。