奈良先端科学技術大学院大学と共同研究を開始した新医療リアルワールドデータ研究機構

共同研究のスタート

国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学（NAIST）と新医療リアルワールドデータ研究機構（PRiME-R）は、電子カルテから医療データを抽出し、構造化する新たな共同研究を開始しました。この取り組みは、近年進展を見せるゲノム医療の発展を見据えたもので、特に癌治療において重要な役割を果たすバイオマーカー情報を効率的に扱うことを目指しています。

研究開始の背景

がん治療において、個々の患者の遺伝子情報に基づくアプローチが注目されており、バイオマーカーはその中でも特定のがん細胞の状態を示す重要な指標です。しかし、現状ではこれらの情報が電子カルテ内のフリーテキストとして散在しており、集めて活用することが困難な状況です。

NAISTは医療言語処理における専門知識を有し、PRiME-Rは約10万件のバイオマーカー情報を成功裏に構造化した実績があります。両者が持つ技術を統合し、医療データの利活用を促進する狙いがあります。

本研究の主要な内容

本研究では、バイオマーカー情報の取り扱いを中心に行います。NAISTの荒牧英治教授の研究室とPRiME-Rは、医療現場の意見を考慮しつつ電子カルテ上の医療テキストからデータを抽出するアルゴリズムを共同で開発します。また、このアルゴリズムを医療機関で実証実験し、その実用性を確認する予定です。

各機関の役割

1. NAIST: 症状や病名に関連する万病辞書を活用し、バイオマーカー情報の抽出と構造化に必要なアルゴリズムの検討を行います。
2. PRiME-R: 効率的なデータ抽出・構造化技術を開発し、病院での実地検証を実施します。

未来への展望

この研究を通じて、より多くの正確なバイオマーカー情報の抽出と構造化が行えるようになることを目指しています。これにより、日本国内の医療データの活用が進むだけでなく、医療機関や製薬企業への高品質なリアルワールドデータの提供に貢献し、新たな医薬品や医療機器の開発、さらには次世代医療の進化を促進することを目指します。