新たな河川監視AI
2025-10-01 17:24:36

河川に流れるプラスチックを監視する新たなAI技術の開発

河川に流れるプラスチックを監視する新たなAI技術の開発



近年、海洋プラスチック汚染は世界的な問題として注目されています。この問題を解決するためには、陸から海へ流出するプラスチックの実態を把握することが不可欠です。八千代エンジニヤリング株式会社、愛媛大学、そして日本エヌ・ユー・エス株式会社が共同で、深層学習を用いた画像解析AIを駆使した新たな河川監視ソフトウェアを開発しました。このソフトウェアは、河川の中で流れるプラスチックを自動的に検出し、分類し、追跡する能力を持っています。

従来の河川調査方法は、目視による観測が中心でしたが、それには膨大な労力がかかり、特に洪水時には調査が危険を伴うことから継続的なモニタリングが難しいという欠点がありました。しかし、今回の技術革新により、動画映像からプラスチックの分類・追跡、さらにはその輸送量を自動的に算定することが可能となりました。この新技術は、陸域から海域へのプラスチック流出の実態を明らかにし、今後の環境政策において重要なデータを提供することが期待されています。

新たな監視技術の背景と意義



海洋プラスチック問題は、G20大阪サミットでの「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」とも結びついており、2025年までに海洋プラスチックによる追加汚染をゼロにすることが求められています。特に河川は、プラスチックが海に流れ出る重要な経路であり、その正確なモニタリング技術が急務とされています。

開発されたソフトウェアは、以下の3つの技術を統合しています:
1. テンプレートマッチング技術:河川の流速を計測。
2. YOLOv8:物体を高精度で検出・分類。
3. Deep SORT:流れているプラスチックを追跡。

これにより、従来の限られた地点で行われていた観測方法が、複数の地点で同時に行われ、洪水を含む様々な流況下でも継続的なモニタリングが可能になります。プラスチックを種類別に評価することで、発生源対策やごみ削減施策の効果も明瞭に検証できるようになりました。

将来的な展望



今後、このソフトウェアは愛媛大学と共同開発した河川プラスチックモニタリングシステム「PRIMOS」に搭載され、実際の河川での実装が進められます。このシステムにより、陸から海へのプラスチック流出量を詳細に推定し、流域全体のプラスチック輸送過程を解明することが可能になるほか、科学的根拠に基づいた政策立案やその評価に貢献することが期待されています。

新ソフトウェアの特長



  • - 河川の水面を撮影した動画から自動でプラスチックを検出・分類・追跡。
  • - 飲料ボトル、レジ袋、食品容器など4種類のプラスチックを識別可能。
  • - 河川の流速や各プラスチックの輸送量を同時に算出。
  • - 洪水時を含む多様な条件下で安全かつ継続的なモニタリングを実施。

この新技術は持続可能な社会への道筋を示す重要な一歩であり、今後の国際的な環境政策に貢献する可能性を秘めています。


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会社情報

会社名
八千代エンジニヤリング株式会社
住所
東京都台東区浅草橋5-20-8 CSタワー
電話番号
03-5822-2900

トピックス(科学)

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