工研院の新技術
2025-01-22 15:42:36

工研院が車載用炭化ケイ素パワーモジュールを発表し新時代の幕開け

未来を見据えた工研院の技術展



2023年10月22日、工業技術研究院(ITRI)は、「ネプコンジャパンエレクトロニクス開発・実装展」で新たな車載用炭化ケイ素(SiC)技術ソリューションを発表しました。この展示会は、アジア最大級のエレクトロニクスの専門展であり、ITRIはここで電気自動車に関連する重要な技術を紹介しました。

次世代技術の展示内容


展示では4つの特設エリアが設けられ、「電気自動車の駆動および充電ソリューション」、「パワー半導体GaN(窒化ガリウム)」、「パワー半導体Ga₂O₃(酸化ガリウム)」、そして「大電力400kW DC-DCコンバーター」が紹介されました。これらの技術は、次世代のワイドバンドギャップ(WBG)パワー半導体の可能性を示し、特に8万人以上の来場者を驚かせる内容でした。

ITRI電子及び光電システム研究所所長の張世杰氏は、「電気自動車はカーボンニュートラルを実現するための重要な手段」と述べ、炭化ケイ素(SiC)技術が持つ可能性に言及しました。炭化ケイ素は、高電圧・高温環境下でも安定して動作する特性があり、電気自動車にとって不可欠な材料とされています。ITRIは、長年の研究開発を通じて、これらの技術を深化させてきました。

車載用SiCパワーモジュールの特徴


特に注目された「1200V/660A T2シリーズSiCパワーモジュール」は、炭化ケイ素パワー半導体技術を利用しており、主にトラクションインバーター用に設計されています。このモジュールは、放熱性能を強化するとともに、消費電力を削減し、さらにはシステムの電力密度を向上させる役割も果たしています。これにより、電気自動車の航続距離が延長され、加速性能や出力が向上することが期待されています。

国際的な評価と技術の商業化


現在、これらのSiCパワーモジュールは、車載用の信頼性テストにも合格しており、ITRIはさらなる最適化設計や試験の支援を通じて、台湾の技術が国際市場に進出する機会を創出しています。また、展示会では、デルタ電子が開発した充電スタンド向けのSiCパワーモジュールも紹介され、台湾の技術がどれほど高いレベルにあるかをアピールしました。

展示の中には、アーカンソー大学との共同開発による「大電力400kW DC-DCコンバーター」も含まれており、こちらは3.3kVのSiCパワーモジュールを搭載したものです。このコンバーターは、動作温度150℃、DC電圧1800Vという厳しい条件下で、他の市販モジュールと比較し、スイッチング損失が30%削減されています。つまり、非常に高い効率性を保持しつつ、パワーコンバーションシステムの高度化が期待されるのです。

経済と環境に配慮した技術開発


ITRIは、今後も市場のニーズに応じて新しい価値を創出するため、「2035技術戦略とロードマップ」を策定し、研究開発の方向性を示しています。このように、多様な技術革新を通じて、電気自動車や半導体産業の成長をけん引し、持続可能な未来を目指す姿勢が強く示されています。日本や欧米の自動車業界への参入を図りながら、国際市場における技術の商業化と応用の拡大を加速していくことで、持続可能な発展に寄与することが期待されています。

工業技術研究院が展示した技術は、ただの製品紹介だけにとどまらず、未来の交通・エネルギーのあり方を見据える重要なステップといえるでしょう。


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