景気動向調査:先行き不安の中での業種別売上DI動向
1. 売上DIと収益DIの動向
最近発表された第200回景気動向調査によると、売上DIは-11.3で、収益DIは-18.5と、いずれも2期連続の下落を示しています。この状況は、景気の足踏みが長引くことへの懸念を引き起こしています。特に飲食業や製造業の下落幅が大きく、それぞれ-26.1、-21.6という数字が指摘されています。これらの業種は、大手企業と比較して中小企業が特に厳しい状況にあることを示唆しています。
2. 経営環境の厳しさ
物価や経費、人件費の上昇、さらには円安の影響が、企業の収益に深刻な影響を及ぼしています。これにより、中小企業はさらなる試練に直面しています。2024年7-9月期については、売上DIと収益DIともに回復を見込む声が上がってはいますが、果たしてどもまで期待できるのでしょうか。
3. 設備投資は維持
一方で、設備投資の状況は堅調に推移しています。「実施中」および「予定あり」を合わせた数値は、29.0%となりました。このうち製造業とサービス業の両部門では「予定あり」の業種が15.7%を占め、小売業は6.6%に留まっています。業種間のバラつきが顕著であり、全体としてはポジティブな傾向が見られます。
4. 仕入単価上昇の限界
経営における課題として「仕入単価の上昇」が重くのしかかっています。74.1%の企業がこの問題を抱えており、業種別に見ると飲食業が95.8%、製造業が82.8%という深刻な数字を示しています。このような状況が続く中で、企業はますます厳しい判断を求められています。
5. 夏季賞与の支給状況
今年の夏季賞与については、支給される企業が69.6%に達しました。また、製造業や建設業、運輸業では、現場の人手不足を背景に支給する企業が増えています。ただし、支給額は昨年と比較して減少傾向にあり、支給金額「30~40万円」が17.7%と前年より5.8ポイントの減少を見せています。このように、企業は業績悪化を受けて支給金額の見直しせざるを得ない状況です。
6. まとめと今後の展望
景気動向調査からは、中小企業の厳しい状況と将来への不安が浮き彫りになっていますが、来期にはインバウンドや万博関連の需要が期待されており、少しずつ回復する兆しも見えます。しかし、果たしてこの期待が現実に変わるのか、多くの企業が経済の動向に敏感に反応し続けるでしょう。今後の動きから目が離せません。