求人ボックスが明らかにしたキャリアへの不安と今後のアプローチ
2025年11月19日、水曜日、株式会社カカクコムが展開する求人情報の一括検索サービス「求人ボックス」は、利用者を対象に実施した「仕事と暮らしの実態調査」の結果を発表しました。この調査では、現代における働き手のキャリアに対する不安や意識について、様々な観点から詳しく分析されています。
調査の背景と目的
この調査は今年から開始された「仕事と暮らしの実態白書」として位置づけられており、今後も毎年定期的に実施されることが予定されています。労働環境が急速に変化する中で、キャリア形成に関する意識や職場の満足度、さらには経済的不安など、仕事と生活に関する多くのテーマを探る狙いがあります。
調査結果の概要
調査結果によると、全体の70%以上がキャリアに対する強い不安を抱えているという結果が出ており、特に正社員や中高年層においてその傾向が顕著です。具体的には「転職できる自信がない」とか「このまま今の会社にいても大丈夫なのか」という声が多く寄せられ、働く人々の不安を浮き彫りにしています。このような不安は、どの年代や雇用形態においても共通しており、現代の労働者の心の内を反映しています。
ワークライフバランス重視の新しい価値観
調査の結果、キャリアで最も重視されるのは「ワークライフバランス」というデータが得られました。これは、従来の「出世」や「昇進」といった価値観とは一線を画すもので、現在の働き方が精神的な充足度やプライベートの充実を優先する新しい価値観を反映しているといえます。この傾向は、特に30代から40代前半の若い世代において顕著で、家庭との両立を重視する姿勢が見受けられます。20代では「スキルアップ」と「出世」が重視される傾向がありますが、こちらもワークライフバランスを求める声が多いのが特徴です。
年齢や雇用形態によるキャリア不安の実態
年齢別に見ると、55歳から64歳のシニア層は特に「キャリアに対する不安」が強いことが判明しました。全体の不安スコアは7.2点と高水準で、このスコアは正社員が最も高いことも特徴です。正社員は、安定しているという印象を持たれる一方で、自身の将来に対する不安を抱える状況が浮かび上がっています。
このような背景には、終身雇用の崩壊を背景にしたキャリア不安があると言えます。
キャリア不安の主な理由
調査では「年齢を重ねるほど転職しにくくなること」が最も多い不安の一因として挙げられました。この結果は、今後の職業選びにおける心理的な要因や社会的な圧力についても考える契機となります。また「会社の将来性」や「キャリアの方向性」で迷っている人々も多く、特に20代では「キャリアの方向性が定まらない」との悩みが顕著でした。
相談の重要性
興味深いのは、キャリアについての不安を相談できる相手がいないとされる人が約70%に達したことです。相談先があれば不安を感じにくいことが明らかになっており、職場環境やキャリアの選択に際して、孤立を避けるためのネットワークの構築が不可欠といえます。自分のキャリア形成を支えるため、友人や親族とのコミュニケーションの重要性が一層高まっています。
まとめと今後の展望
株式会社カカクコムの小島部長は「今回は、働き手が成果の追求よりも生活の質や精神的な充足を重視している様子が反映された調査結果となっています。今後は、求人ボックスを通じて、働き手が抱えるキャリアに対する不安解消に向けた取り組みを行っていく」と語っています。このことで、求人ボックスは多様な生き方が尊重される時代において、すべての人が自分のキャリアに自信を持てるようなサポートを提供することを目指しています。
今後も「仕事と暮らしの実態白書」を通じて、労働市場の変化と働く人々の意識の変化を捉え、より確かな情報を提供し続けていく予定です。