長野県と近畿日本ツーリストが拓く新たなオンライン部活動の試み
さまざまな課題に直面する教育現場。この中で、長野県と近畿日本ツーリストが共に進める「オンラインクラブ活動」が注目を集めています。本事業は、ICT(情報通信技術)を活用して地域の学校部活動を支援する新たな取り組みであり、その試みの一環として、御代田中学校の「オンラインバスケットボール部」が立ち上げられました。2025年12月9日には、5回目の練習会が報道関係者に公開され、その様子が多くのメディアにも取り上げられました。
地域クラブ活動の背景と目的
近年、長野県内の学校では少子化と過疎化が緊急の課題として浮上しています。これにより、学校の部活動の存続が困難となり、指導者不足や地域間での活動環境にも差が生じてきています。このような背景を受け、長野県教育委員会と近畿日本ツーリスト株式会社は、オンラインクラブ活動を用いて、専門知識を持つ指導者と子どもたちを効果的に結びつける仕組みを実証することを目指しました。
オンラインバスケットボール部の特徴
「オンラインバスケットボール部」では、長野県内で活躍するプロバスケットボールチーム「信州ブレイブウォリアーズ」の現役コーチが指導にあたります。この取り組みでは、近畿日本ツーリストが提供する専用のオンラインツールを使用し、月に数回、長野市から遠隔で指導が行われています。特に環境によって人手が限られる地域においても、プロによる質の高い指導が受けられる点が大きな魅力となっています。
プロによる質の高い指導
生徒たちは、ドリブルや対人練習の合間にコーチからリアルタイムのアドバイスを受け、自分のプレイを見直すことができます。「信州ブレイブウォリアーズ」の渡辺智之コーチと荻原秀尭コーチからの指導は、参加者にとって大きな刺激となり、技術の向上を助けています。生徒からは「プロに教わるのはとても貴重な体験」との声も上がっています。
高度なオンライン指導技術
オンライン指導のためには、高度な技術が必要です。この取り組みでは、AI機能を持つ三脚やモーションキャプチャーといった、最新のツールが使われます。これにより、生徒の動きが自動で追跡され、さまざまな角度からパフォーマンスを確認できるため、コーチもより的確なアドバイスが可能に。また、動作を可視化する「モーションキャプチャー」は、自己評価を促し、主体的に練習に取り組む力を育む役割も持っています。
各関係者のコメント
このプロジェクトに関わる多くの声が集まっています。プロチームのコーチや教育委員会の担当者は、物理的な移動が難しい長野県において、オンラインの導入が有効であることを認識しています。長野県教育委員会の上原雄次氏は、「オンラインクラブ活動は、地域の課題に対して効果的に応える可能性を秘めている」とコメントし、今後の展望にも期待を寄せています。
今後の展望
このオンライン活動の試みは2024年2月まで継続され、その効果を検証した上で、更なる展開を目指しています。近畿日本ツーリストは、教育を通じて人と地域を結びつける役割を果たし、今後もこのような取り組みを様々な教育機関と協力して広げていく計画です。
新しい形の部活動は、単なるスポーツに留まらず、子どもたちに新たな学びや人とのつながりを提供しています。これからも、地域が一体となり、未来の世代に向けての活動が続いていくことを願っています。