バーゼル銀行監督委員会が資本バッファー比率の新報告書を発表

バーゼル銀行監督委員会の新たな報告書



令和6年12月5日、金融庁はバーゼル銀行監督委員会(BCBS)から発表された「ポジティブ・ニュートラルなカウンターシクリカル資本バッファー比率の設定に関する多様な実務」についての詳細をお知らせしました。この報告書は、2023年11月28日に公表されたものであり、金融機関が資本の健全性を確保するための新たな指針となっています。

カウンターシクリカル資本バッファー比率とは



カウンターシクリカル資本バッファーとは、経済の過熱を抑制するために金融機関が通常の資本規制に加えて設定する資本バッファーのことです。このバッファーは、景気が悪化した際には引き出すことができ、金融機関の安定性を保とうとする目的があります。

今回の報告書は、特にポジティブ・ニュートラルなカウンターシクリカル資本バッファー比率に注目しており、各国や法域が自国の経済状況に応じてこの比率を任意に設定できることを明示しています。この取り組みは、各国が資本規制の柔軟性を持つことで、システミックリスクの軽減を図ることを目指しています。

これまでの経緯



バーゼル銀行監督委員会は、2022年10月に最初のニューズレターを発表し、ポジティブ・ニュートラルなカウンターシクリカル資本バッファー比率の導入を推奨していました。それ以来、各国ではこの仕組みを受け入れる動きが広がり、資本バッファーの設定に関する様々な実務的取り組みが行われてきました。新たに発表された報告書は、その結果としての実務のストックテイクを行ったものです。

各国の実務例



報告書では、ポジティブ・ニュートラルなカウンターシクリカル資本バッファーをどのように設定しているか、各国の具体的な実務が詳細に取り上げられています。例えば、ある国では経済成長に応じてバッファーを段階的に増加させる方法を採用している一方で、他の国では平時からの設定が求められるケースが紹介されています。これにより、各国は自国の経済特性や金融システムの安定性を考慮しながら、柔軟に対応することが可能となります。

まとめ



今回の報告書は、ポジティブ・ニュートラルなカウンターシクリカル資本バッファーの理論と実務を統合する重要な資料です。金融機関が適切に資本を管理し、経済の変動に強い体制を構築するためには、今後の実施状況に注目する必要があります。日本を含む各国は、この新たな指針を参考にしつつ、金融システムの安定性を維持するための戦略を模索していくことが求められています。この報告書に関する詳しい情報は、国際決済銀行のウェブサイトで確認できます。

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