最期の涙が虹を描く―愛犬との別れを癒す絵本制作プロジェクト始動―
岩手県一関市の常堅寺で17年間、家族のように暮らしていた柴犬「ナナ」。
最期の時、ナナは不思議にも涙を流して旅立ったといいます。麻布大学の研究によると、犬は情動によって涙を流すことが確認されていますが、死の直前の涙は奇跡的とも言えるでしょう。
この出来事をきっかけに、常堅寺ではペットロスで苦しんでいる人たちの心を癒すため、動物の死後世界をテーマにした絵本制作プロジェクトを立ち上げました。
天の川と虹をテーマにした「花と虹の樹木葬」
絵本は、ペットが死後、虹の世界へ旅立つという世界的な物語を基にしています。
岩手県一関市在住のイラストレーター戸田さちえさんが、ナナとお寺家族の出会い、そして別れを描いた実話と、ペットが天の川を越えて虹の世界に辿り着き、愛する人たちと再会するというファンタジーを組み合わせた作品を制作しました。
悲しみを乗り越え、希望の光が虹となる―そんな、ペットと家族の温かい物語が絵本に詰まっています。
絵本の世界観を現実世界に再現したのが、常堅寺が作庭した「花と虹の樹木葬」です。
天の川や希望の虹をテーマに、美しく咲き乱れる花々や木々、そして優しい光が差し込む空間は、訪れる人の心を穏やかに包み込みます。
現在、アジサイやグランドカバープランツなどが見ごろを迎えており、8月初旬までオープンガーデンを開催しています。
ペットロスと向き合う、グリーフケアへの取り組み
近年、愛するペットを失うことで深い悲しみや喪失感を抱え、仕事や日常生活に支障をきたす人が増えています。
常堅寺では、この絵本制作プロジェクトを通して、ペットロスで苦しむ人たちの心のケアにも力を入れています。
「花と虹の樹木葬」の庭の花々をSNSで発信することで、ペットロス軽減に役立てているほか、年末にはガーデンに電飾をアーチ型に配置し、ペットたちが虹の橋を渡り、天に登るよう万灯供養を行っています。
悲しみを乗り越え、希望へと繋がる物語
今回の絵本制作は、本格的な絵本制作に向けた第一歩です。
常堅寺と一般社団法人てあわせでは、この物語を通して、ペットを失う喪失感や立ち直りのきっかけなどを募集し、グリーフケアに繋げていくプロジェクトとしています。
ペットロスで苦しんでいる方、愛するペットとの別れを乗り越えたい方、この絵本を通して、悲しみを乗り越え、安らかな死後の世界と、生きとし生けるものが再び出会える世界があることを感じていただければ幸いです。