未上場企業の持続的成長を支える新たなガバナンス提言
株式会社マネジメントソリューションズ(MSOL)の取締役会長、高橋信也氏が委員長を務める日本取締役協会の「未上場企業のガバナンスを考える委員会」が、このたび未上場企業に向けた『コーポレートガバナンス提言書』を発表しました。この提言は、未上場企業が持続的に成長するためにどのようなガバナンス体制が必要かを探求した結果です。
日本における未上場企業の現状
日本には約178万社の法人が存在しますが、その中で上場企業はごくわずか0.22%に過ぎません。このことから、多くの企業が未上場であり、地域の経済や雇用に寄与しています。しかし、未上場企業に対しては、上場企業が適用されるガバナンス・コードや社外取締役の設置といった制度が適用されないことが多いのが現状です。このため、経営が経営者の個人の裁量に頼ってしまう傾向があり、組織的な意思決定やリスク管理が疎かになるリスクがあります。
提言書の目的と概要
今回の提言書は、未上場企業が抱えるこうした課題に対処するため、コーポレートガバナンスの基本的な考え方を体系化し、持続的な成長及び企業価値を向上させるための実践的な指針を示すことを目的としています。特に、ガバナンスを単なる経営の統制や制約として捉えるのではなく、経営の質を高め成長を促進する基盤として位置づけることが強調されています。
未上場企業の類型
提言書では、未上場企業を以下の三つの類型に分類し、それぞれの特性や課題を分析しています:
1.
スタートアップ企業:急速な成長とExitを目指す企業。
2.
昭和型企業:オーナーシップが強く、大企業のサプライチェーンを支える企業。
3.
非上場大企業:意図的に非上場を選択したり、規模が大きい企業。
独自のアプローチ
提言書には、各類型ごとに必要なガバナンス強化の方向性が示されており、特にスタートアップ企業向けには「ミニマムコーポレートガバナンスチェックリスト」など、すぐに実践可能なツールが提案されています。
- - スタートアップ企業:創業初期から取締役会を開き、透明性を確保するための「ミニマムガバナンス」の導入が推奨されています。
- - 昭和型企業:外部アドバイザーを招いた取締役会の運営を通じて閉鎖的体制の脱却を図ることが重要です。
- - 非上場大企業:権限の集中を防ぐために、権限規程を整備し、アドバイザリーボードを設けて社外の視点を取り入れる必要があります。
共通の視点と提言
この提言書には、類型を超えた共通の視点として、企業を「公器」として捉える意識を持つべきだという考えが示されています。また、制度設計は形式にとらわれることなく実質的に機能するよう設計すべきであり、創業理念や企業文化と調和させることが大切です。
さらに、事業承継をガバナンス改革の好機とし、税制インセンティブを活用した普及体制の構築が推奨されています。これにより、未上場企業においても企業価値の向上と持続的な成長が期待されるとしています。
結論
この提言書を通じて、未上場企業が持続的に成長するための新たなビジョンと具体的な手法が示されました。今後はこの提言が各企業に実践されることにより、地域経済の発展と雇用の創出に寄与することが求められます。提言書の全文は、日本取締役協会のウェブサイトで閲覧可能です。