パナソニックHDが新たに打ち出す介護予防サービス
高齢化が進む現代社会において、介護予防は重要なテーマです。パナソニックホールディングス株式会社(以下パナソニックHD)は、最新のデジタル技術を活用した介護予防サービス「デジタル同居」の実証実験に取り組んでいます。この新サービスは、従来の対面による介護支援に代わって、チャット形式を用いることで高齢者の健康状態を見守るものです。
背景と目的
この研究開発は、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環として行われ、多くのパートナーとともに「高齢者と遠隔家族をつなぐデジタル同居サービスの開発」に取り組んでいます。このプロジェクトの目的は、社会全体の寛容性を高めると同時に、高齢者自身の自律性を向上させることです。具体的には、要介護高齢者やその支援者が増えない社会を目指しています。
進められる検証方法
このサービスは、AIチャットボットとアクティビティトラッカーを導入しており、高齢者の身体的・精神的・社会的なリスクをデータで把握します。収集したデータをもとに、専門家の知識を活用し、個別の介入プランをAIが策定します。このプロセスによって、高齢者は自身に適したサポートを受けられるようになります。さらに、チャットにより高齢者と継続的なコミュニケーションを図ることで、行動変容を促し、心身の健康を改善することを目指しています。
2024年12月からは、効果検証の試験的な介入もスタートし、具体的な成果を追求しています。
効果検証の結果
2025年11月、20名の高齢者とその子世代を対象に介入が実施され、3か月後に改善傾向が見られました。特に認知症やうつ病に関する指標で、統計的に有意な改善が確認されました。この結果は、対面の介入に依存せずとも、チャットを通じて介護予防が実現可能であることを示しています。
今後の展望
パナソニックHDは、介護予防を推進する自治体や企業との連携を進め、さらに幅広い検証を展開する予定です。また、本プロジェクトの成果は、2026年1月にラスベガスで開催されるCES2026においても発表される予定です。
新たな介護支援の形として、デジタル技術の導入は期待されており、今後の進展に注目が集まります。これにより、高齢者がより自立した生活を送れる社会の実現が期待されます。