治験業務を変革するAI機能「Agatha」の誕生
アガサ株式会社は、治験及び臨床研究のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支えるクラウドサービス「Agatha」に新たな機能を追加しました。この機能はAIエージェントが文書登録を自動で支援し、医療機関や製薬会社の現場における負担を軽減することを目指しています。2025年7月1日に正式にリリースされたこの「文書登録補助機能」は、多くの医療機関で直面している煩雑な文書管理の一助となるでしょう。
1. 現場の課題を解決するAIの力
治験業務における文書登録は、製薬企業のCRA(臨床研究医)や医療スタッフにとって大きな負担となっています。特に、各医療機関ごとに異なるファイル構成や命名規則に従う必要があり、同一文書でも何度も手間をかけて登録しなければなりません。このような状況では、ヒューマンエラーが多発し、業務自体のスピードと正確性が脅かされます。
アガサは、こうした現場の声を受けて、AIによる文書登録支援機能の開発に着手しました。これにより、治験業務の生産性向上や品質向上、さらには日本の治験環境の競争力強化をめざしています。
2. 新機能の具体的な機能
新たに追加された「文書登録補助機能」では、ユーザーがAgatha上の共通フォルダに文書をアップロードするだけで、AIが以下の処理を実施します。
- - 文書種別の自動判別: アップロードされた文書の種類をAIが自動的に判断
- - フォルダ振り分け: 指定された保管先への振り分けと移動
- - ファイル名自動作成: 事前設定に基づくフォルダ名の自動生成
- - レビュー・承認フローの支援: 医療機関スタッフによる確認が円滑に進むよう支援
この全体的な流れにより、医療機関と製薬企業間の書類処理工数が著しく削減され、業務の標準化と効率化が期待されています。この機能は、アガサが現在特許出願中である独自の技術を用いており、その技術力が垣間見えます。
3. 実証実験と期待される成果
「文書登録補助機能」の実装前に行われた実証実験では、多くの医療機関と製薬企業から高い評価を受けました。実証参加者からは、「業務工数が大幅に削減できる」との回答が寄せられ、結果として平均55%、最大80%の工数削減が見込まれるとされています。
さらに、AIによる自動判別や振り分けの精度は95.5%から100%に達し、ユーザーからの操作性に関する評価も非常に良好でした。実際に「ぜひ導入したい」との声も多く、今後の現場での広がりに期待がかかります。
4. 今後の展望
アガサは、今後もAIを活用した治験業務の効率化を推進し、更に多様な文書種別への対応を図る予定です。また、翻訳支援や文書作成、検索支援といった新たな機能を追加し、よりスマートな治験業務環境を構築していく計画です。
国内の治験実施医療機関の約60%に導入されている「Agatha」は、継続的なシステム拡張と改善によって、そのシェアを拡大しています。2025年5月には導入医療機関数が1200件を超えるなど、成長を続けています。
5. 会社情報
アガサ株式会社は、治験や品質関連文書をクラウド上で管理・保存するサービスを提供する企業です。最新のテクノロジーを用いることで、新しい治療法や薬が創出され、より良い医療環境が整備されることに貢献しています。
今後も業界のニーズに応じた革新的なソリューションを提供し、医療機関や製薬企業との連携を深めていくことが期待されます。