カプコンがNew Relic導入でゲーム基盤を強化
株式会社カプコンは、オブザーバビリティプラットフォームであるNew Relicを自社のゲーム基盤に導入し、システムの安定性と運用効率を向上させることに成功しました。これにより、数十のゲームタイトルを安定稼働させるための基盤が強化され、ユーザー体験向上に寄与しています。
導入の背景と経緯
カプコンは1983年に設立され、ゲームエンターテインメント分野のリーディングカンパニーとして知られています。「バイオハザード」や「モンスターハンター」、「ストリートファイター」といった名作を世に送り出し、幅広いメディア展開を行っています。カプコンは共通機能を持つバックエンドシステム「カプコン共通基盤」を開発し、2020年から運用を開始しました。この共通基盤は、ユーザーアカウントの管理やゲーム内通貨の管理など、様々な機能を提供しており、複数のプラットフォームにまたがるゲームタイトルに対応しています。そのため、24時間365日の安定稼働は非常に重要な要素です。
しかし、共通基盤にトラブルが発生した場合、影響は広範囲に及ぶ恐れがあるため、インフラだけでなくアプリケーションやミドルウェアも含めた状態を可視化する必要があります。そのため、カプコンはオブザーバビリティプラットフォームとしてNew Relicの導入を決定しました。このシステムでは、開発と本番運用の環境が分かれており、各フェーズで迅速に異常を検知できる体制が整えられています。
New Relicの導入とその効果
カプコンは2020年にNew Relicの検証を開始し、同年には正式に採用しました。New Relicの最大の特徴として挙げられるのが、ユーザー数に基づいた明瞭な料金体系です。これにより、コストの見積もりがしやすくなり、さらには多様なデータを即座に収集・可視化できるため、様々な機能の統合も容易です。また、サポート体制も充実しているため、導入の決め手となりました。
New Relic導入後、システムの可視化が進み、開発から運用までの迅速な対応が実現されました。特にAPM機能を使用することで、共通基盤と連携する外部サービスのパフォーマンスを把握できるようになり、課題の早期特定と迅速な対応が可能となっています。さらに、社内チャットツールと連携したアラート機能も導入され、リアルタイムでの状況把握ができる体制が整っています。これにより、障害対応時間の短縮にも寄与しています。
新技術の導入と効率化
2024年9月、カプコンはデータベースを「TiDB」に切り替え、この新しい技術もNew Relicを通じて監視・可視化しています。TiDBは分散型のNewSQLデータベースで、自動的な性能拡張やメンテナンスが可能です。カプコンは、TiDBの導入時にもNew Relicを活用し、負荷試験を通じて性能評価を行いました。これにより、移行作業がスムーズに進み、運用効率が大きく向上しました。
また、従来は複数のツールを使用していたログ収集がNew Relic Logsに統一され、運用効率とコストの最適化が実現しました。ダッシュボードの統一により、データの可視化が進み、意思決定の迅速化も図れています。New Relicによって監視設定のTerraform化を行い、設定ミスを減らし、各環境への展開を効率化しています。
今後の展開
カプコンは、共通基盤を活用したゲームタイトルの増加に向けた取り組みを進めています。今後は、監視体制の強化やメトリクスの拡充を予定しており、AI機能の導入による運用負荷の軽減を目指しています。クラウドコストを一元的に可視化する「Cloud Cost Intelligence」の導入も検討中です。カプコンは、ゲーム開発者がクリエイティブな作業に集中できる環境を整え、さらなる発展を目指していきます。
まとめ
カプコンはNew Relicを導入することで、ゲームタイトルを支える基盤の安定性を高め、運用効率も向上させています。これにより、さらなる成長が期待され、今後の展開にも注目が集まります。