新編集委員発表とシンポジウムの開催
2023年、国語の体系を次の時代へ引き継ぐ新たな章が開かれる。小学館は、2032年に110周年を迎える『日本国語大辞典 第三版』の編纂を開始し、その新しい編集委員が発表された。新編集委員には、これまでの委員に加え、4名の専門家が名を連ねることとなる。
変化し続ける日本語の姿
委員の一人、田中牧郎教授は、日本語の歴史的変遷について述べている。著しい変化を見せる日本語の在り方を捉え、千年から百年単位の変化を記録することがこの辞典の使命だと強調した。これは他言語とは異なる魅力がある日本語の特徴を反映している。
方言の多様性も重要なテーマとして取り上げられている。日高水穂教授は、地域によって異なる方言が日本語の豊かな文化を形成していることを指摘し、この辞典が国語としての役割を担うことの重要性を説いた。方言の記録は、次世代への大切な遺産となるだろう。
すべての人に向けた辞典
日本語は今や、日本だけでなく多くの国で学ばれている言語である。前田直子教授は、世界中で日本語を学び、日本文化を愛する人々にとって、この辞典が持つ意味は大きいと語る。日本語とともに生きる全ての人に対して、辞典が果たすべき責任についても触れた。
新技術と知見による編集作業
新しい『日本国語大辞典 第三版』では、当時の技術では成し得なかった編纂技術や最新の研究手法を活用し、過去から現在に至るまでの日本語の記録を包括することを目指している。山本真吾教授は、これまでの研究を元に、次世代にも日本語をしっかりと継承することの重要性を訴えた。
2025日国 春の辞典シンポジウム
新編集委員の発表に続き、2025年3月21日には、東京・神保町で『2025 日国 春の辞典シンポジウム』が開催される。このシンポジウムでは、辞書の未来をテーマに、デジタル化やAIとの共生について議論される予定だ。具体的には、小型辞典と大型辞典の役割、デジタル変革が国語辞典に与える影響などがテーマとして取り上げられる。
参加者は、豪華な登壇者陣とともに国語の未来を深く掘り下げることができる絶好の機会となっている。参加希望者は事前申し込みが必要で、無償で参加できるということも魅力的だ。この機会に、多くの人に国語辞典の重要性に触れてもらいたい。
終わりに
『日本国語大辞典 第三版』は、日本語の豊かさを未来へとつなぐ重要な源となるであろう。編集体制の強化とともに、今後も進められる改訂作業に期待したい。最新情報は、プレスリリースや特設ウェブサイトで随時公開される予定だ。この辞典が、日本語を愛する全ての人々にとって、手元に置いておきたい参照資料でありますように。