大型契約獲得の背景
株式会社JVCケンウッドが、イタリアの無線関連グループ会社であるRadio Activity S.r.l.(以下「RA社」)を通じて、同国の消防庁向けに業務用デジタル無線システムを供給する大型契約を締結しました。この契約は、イタリア内務省管轄の消防庁に向けたもので、計1,730万ユーロ(約28億円)に上ります。今回の契約は、防衛や安全保障関連製品を提供するLeonardo S.p.A.との共同受注によるものです。
RA社の実績と技術力
RA社は、イタリアのミラノに本社を構える無線専門の企業です。JVCケンウッドは2017年にRA社の全株式を取得し、完全子会社化して以来、密接に協力してその成長を支えてきました。RA社はDMR(Digital Mobile Radio)規格に適合した中継器の開発・販売を行い、その分野において豊富な技術と実績を誇っています。特にサイマルキャスト技術の提供に関しては、高い評価を受けており、アナログとデジタルの通信をシームレスに切り替えることができる点がその強みです。
新システムの内容
新たに受注したシステムは、DMRサイマルキャストに対応したレピーターシステムです。このシステムはイタリア全20州のうち10州の消防庁に展開され、安定した緊急通信を提供します。各レピーターはナローバンド無線で接続され、独立したネットワークを形成することができます。これにより、消防局の通信において、高い信頼性と効率性が確保されます。
アナログからデジタルへのスムーズな移行
今回のシステムは、従来のアナログプラットフォームからデジタルシステムへのスムーズな切り替えを可能にします。イタリア国内で使用されている周波数帯域を維持しつつ、アナログとデジタルの自動切り替えができるため、既存の通信インフラがそのまま活用されます。これにより、通話品質や通信の秘匿性が向上し、より広範囲にわたる無線通信の質が高まることが期待されています。
今後の展望
JVCケンウッドは中期経営計画「VISION2025」において、無線システム事業を成長の牽引役として位置付けています。今後は、北米市場でのデジタル無線への移行が進むなかで、公共安全市場におけるシェア拡大を図っていく方針です。また、欧州やアジア、そして日本国内でも、当社の無線技術を駆使したトータルソリューションを展開し、事業のさらなる拡大を目指します。
まとめ
今回の契約は、JVCケンウッドの無線システム事業における重要な一歩であり、公共安全に貢献する信頼性の高い技術を提供する機会となるでしょう。通信インフラの重要性が増す中、今後もその技術力を活かし、安心・安全な社会の実現に寄与していく姿勢が求められます。
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