混沌とした自然災害への挑戦
能登町(石川県鳳珠郡)は令和6年に発生した能登半島地震において、さまざまな問題に直面しました。初動体制や避難所の運営、受援の仕組みに関する課題を検証した結果、町の防災体制にいかに反映していくかが注目される中、同町は兵庫県立大学と三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(MURC)との共同研究を通じて、具体的な対応の改善策を見出すこととなりました。
共同研究の目的と背景
今回の共同研究は、能登町が直面した数々の災害課題を検証し、その結果を防災に生かすことを目的としています。兵庫県立大学からの提案のもと、これまでにも宮城県気仙沼市や熊本地震における実績を踏まえたMURCが参戦。初動からの問題点を明確にしていく意義が強調されました。
研究のプロセス
共同研究が開始されたのは2024年11月から2025年3月までの5カ月間にわたります。まず地域の防災計画や災害対策本部の資料を用いて、前回の災害の対応の流れを整理。次に、町災害対策本部に関わったさまざまな班に対してアンケート調査を実施し、具体的な実施状況についてのデータを収集しました。その中で、外部から支援を受けて行われた業務に関しては、実務に携わった職員にヒアリング調査を行い、実態の把握に努めました。
課題と改善方向
収集されたデータは、「情報」「資源」「内部および外部の調整」「広報」「指揮」「計画やマニュアル」の7つの観点から分析され、能登町の防災対応の現状を整理しました。この分析により、各種改善の方向性が見出され、次なる大規模災害への備えとして、全国の自治体にも活用されることが期待されています。
今後の展望
この共同研究の成果は、正式な報告書としてまとめられ、今後は全国の自治体に対する減災対策の一助となることを目指しています。能登町の防災体制が強化されることのみならず、共通の課題を抱える他の地域にもその教訓が活かされることが求められています。
能登町について
能登町は、2005年に合併し、歴史的な文化や自然環境を有する地域です。豊かな自然に支えられた産業が基幹であり、イカ釣り漁業が特に有名です。また、地域の祭りや民俗文化が息づいている町でもあります。
兵庫県立大学の役割
兵庫県立大学は、災害に関する研究を専門としており、特に阪神・淡路大震災以降の教訓を持つ重要な機関です。市民や地域と協力し、さまざまな防災教育を行うことで、意識の向上に貢献しています。
MURCの専門性
MURCは、東京に本社を置くシンクタンクで、防災戦略の策定においても高い専門性を有し、地方自治体の支援を行っています。災害からの学びを次世代に伝える役割を果たしています。
地域の防災が強化されることで、未来の安心安全がより確実なものとなることが期待されています。